良好な人間関係というと、「楽しく和気あいあいとした関係」という意味でとらえるのが一般的であると思います。
しかし、ドラッカーは全く違ったとらえ方をします。
対人関係の能力をもつことによって良い人間関係がもてるわけではない。
自らの仕事や他との関係において、貢献に焦点を合わせることによってよい人間関係がもてる。
そうして人間関係が生産的となる。
生産的であることがよい人間関係の唯一の定義である。
『経営者の条件』より
有名バンドや人気漫才コンビ等がお互いに仲が悪く、携帯の番号すら知らないということはよくあるそうです。
つまり、「わきあいあいとした楽しい付き合い」とは対極にある人間関係です。
しかし、ドラッカーの定義によると仕事において大きな成果をあげている以上、彼らは「よい人間関係」を築いていることになります。
共通の目標や成果を見つめる習慣があることがよい人間関係の条件ということになります。
さらにドラッカーの言葉を続けますと
仕事上の関係において成果がなければ、温かな会話や感情も無意味である。貧しい関係の取りつくろいにすぎない。
逆に関係者全員に成果をもたらす関係であれば、失礼な言葉があっても人間関係を壊すことはない。
『経営者の条件』より
となっています。
つまり組織の目的を達成することこそが重要であるということです。
(浅沼 宏和)