自らの仕事においても、まず強みからスタートしなければならない。
すなわち、自らのできることの生産性をあげなければならない。
‥成果を上げるエグゼクティブも自らに対する制約条件を気にしている。
しかし、彼らはしてよいことで、かつ、する値打ちのあることを簡単に探してしまう。
させてもらえないことに不満を言う代わりに、してよいことを次から次へと行う。
‥実際に何らかの制約があったとしても、することのできる適切かつ意味のあることはあるはずである。
『経営者の条件』より
これは、いわゆる「仕事は自分で見つけるもの」というビジネス上の格言と同じ意味ですね。
できるビジネスパーソンは、与えられた仕事の中で抜きんでて打ち手の数を多くするものであるということです。
この部分を読んで、帝国ホテルの伝説の総料理長であった村上信夫シェフのエピソードを思い出しました。
村上シェフは小学校を出てすぐに帝国ホテルに厨房の下働きとして入ったそうです。
当時のシェフの世界は江戸時代の職人の世界のように厳しかったそうで、村上シェフは先輩たちから何一つ教えてもらえなかったそうです。
それどころか先輩たちは自分の技を盗まれないようにお客さんの下げたお皿に洗剤をすぐに振りかけてしまい、ソースの味見ができないようにしていたそうです。
村上シェフは自分にできることは何かを考え、鍋やボールなどの調理器具を徹底的に磨き上げたそうです。その仕事ぶりは徹底しており、厨房の調理器具はいつも新品同様であったといいます。
こうした姿勢は先輩たちに認められ、ソースが残ったままのお皿が村上シェフのところに来るようになったといいます。もちろん村上シェフはそのソースをなめ、必死でその秘密を見つけたのです。
こうした姿勢が村上シェフを、エリザベス女王の舌すら驚かすほどのトップ中のトップへと導いたのだと思います。
できる社員、黒字社員、エグゼクティブ‥いい方は様々ですが、抜きんでたビジネスパーソンにはその場でやれることを数限りなく行う積極性があると思います。