続きです。マーケティングに関する部分です。
これをみるとドラッカーがかなり早い段階でマーケティングについて体系的なとらえ方をしていることが分かります。
・マーケティングの8つの現実
①顧客・市場を知るのは顧客だけ。顧客に聞き、見て、その行動を理解して初めて顧客がだれで、何を行い、何を買い、どう使い、何を期待し、何に価値を見出しているかを知ることができる。
②顧客は満足を買う。しかし満足は生産したり供給したりできない。満足を得る手段を使って橋渡しをするだけ。
③競争相手は同業他社にとどまらない。
④質を決めるのは企業ではない。
⑤顧客は合理的。企業はなぜ顧客が不合理に見える行動をするかを知らねばならない。
⑥顧客は企業に関心を持っていない。
⑦決定権・拒否権を持つのはだれか。顧客とは支払う者ではなく買うことを決定する者。購入の決定権者は少なくとも二人いる。最終購入者と流通チャネル。
⑧市場・用途から顧客を特定する。顧客が識別しにくい場合には市場や最終用途からスタートする。
・外部からの事業の見方の3側面。「誰が買うか」「どこで買うか」「何のために買うか」
・あらゆる企業が顧客、市場、用途のいずれかを中心に事業を定義できる。3つの側面の分析を重ねると実り豊かな洞察が得られる。
・顧客を知るための8つの問い
①ノンカスタマー(非顧客)。「自社の製品を買わないのはだれか。なぜ彼らは顧客にならないか。」
②金と時間の使い方。「顧客は何を買うか。金と時間を何に使っているか」
③価値選好。「顧客が自社から得ている満足はどの程度重要か、重要度は今後大きくなるか。」「どの分野のニーズがまだ満たされていないか。」
④提供しうる価値。「わが社の製品・サービスで本当に重要な満足を提供しているのは何か。」
⑤存在意義。「わが社は顧客の経済、事業、市場の何に左右されるのか。」
⑥商品群。「意味ある商品群は何か。」
⑦潜在的な競争相手。「潜在的競争相手になっていない者は何か。それはなぜか。」
⑧顧客の現実。「不合理に見える顧客の行動は何か。つまり顧客の現実でわが社に見えないものは何か。」