何かを伝えるには、まとまった時間が必要である。
計画や方向付けや仕事ぶりについて、部下と15分で話せると思っても、勝手にそう思っているだけである。
肝心なことをわからせ、何かを変えさせたいのであれば、1時間はかかる。
『経営者の条件』より
ドラッカーの時間論は、成果の上がるべきところに時間を集中投入するというのが根幹です。
しかし、コミュニケーションについてはこの原則から少し外れると考えているようです。
単なる業務上の情報伝達であるならば、5分、10分でよいでしょうが、根本的な基準や方針については、その意味や満たすべき条件についてきちんと理解させねばならないということです。
これらについて時間が必要であるのは、部下が原則や方針を理解し受け入れる構えを持っている場合が稀であるからです。
ドラッカーは、「人は自分が聞きたい話だけを聞く」と述べています。
原則や方針を決める人と、それを受け入れる人では立場が違います。
下位の立場の人は、上位の人間が当たり前に考えていることを理解することはできません。
そこに時間をかけるというのがドラッカーの考えです。
多くのビジネス本には、「経営者は当たり前のことを何百回、何千回と繰り返し言い続けなければならない」と書かれていますが、これはドラッカーと同じことを言っていると思います。