2010年10月5日火曜日

書評-「だれかに話したくなる小さな会社」

浜口隆則・村尾隆介『だれかに話したくなる小さな会社』かんき出版、2010年  定価1,400円+税


独特のブランディング理論を展開する本です。なかなか鋭いと思います。



・営業活動をしてもそこには価格競争しかない。お客さまから探しに来てもらうようにする。

・お客さまではなくファンがいる。

・拡大志向よりしあわせ志向。

・成功を分かち合える仲間がいる会社、事業自体が社会貢献的な会社。


・はやりすたりに左右されない経営をするためには、会社をその地域や業界におけるブランドと呼べる存在にする必要がある。

・ブランドを目指すと決めたら、会社自体の価値を上げることを経営者は徹底すべき。

・時代が変わっているといえる7つのポイント
 
①商品の短命化
②商品レベルの向上と飽和化
③マス市場の消滅
④人口の減少
⑤価格競争
⑥情報化とグローバル化
⑦労働市場の流動化

・小さな会社のブランド戦略はデザイン主導の部分戦略ではなく、全体戦略であるべき。

・新しいカテゴリーを作ることがブランドへの早道。


・ちょっとした不便を解消してあげれば立派に新しいカテゴリーとなる。

・小さな会社はポジショニング戦略が大切。ライバルひしめく激戦区から少しだけずれた所に着目する。

・ブランド力はフォーカス力。自社の仕事をほぼワンフレーズで説明できるようにする。

・自社のポジションを時代に合わせて少しずつずらす。


・人が応援したくなるのは自社の仕事を愛し、使命感を持って一生懸命行っている会社。

・「ただ毎日普通に仕事をしているカリスマ的会社」というものは存在しない。


・ビジネスとは「伝える」作業。

・名は体を表す。いいネーミングがあればキャッチコピーはいらない。

・小さい会社のブランド戦略とは「会社の分かりやすい化」


・会社を輝かせるのはスタッフ。スタッフは自分が「ブランドの体現者」であるとの自覚を持つ。

・小さな会社こそリッツカールトンのようにクレド(信条)が必要。

・クレドの例-「雪が降っても自分の責任」 (強い責任感をもたないといけないという例)


・クレドは職場の口癖。

・繰り返すこと=社長の責任

・「人は幸せだから笑っているのではない。笑っているから幸せなのだ。」


・目配り、気配り、心配りができるスタッフがいる会社がいい会社。

・価格を下げるのではなく価値を上げる。

・利益を上げることから逃げてはいけない。


・「喜んでもらうこと」が商品

・お客様を先に好きになる。

・1回の売り上げではなく、一生での売り上げを重視。


・会社の方向性には会社の使命、将来像、価値、存在理由のすべてが含まれている。


内容はオーソドックスですが、無駄をそぎ落としたわかりやすい文章であると思います。

前にコトラーのマーケティングで上げた例もクレドであるとおもいます。

ルール1、お客さまは正しい。
ルール2、もしお客様が間違っている場合にはルール1に戻る

というアメリカの大手流通業者のちょっとほほえましい社員の行動原則のことです。



結局、全力を出した真っ向勝負だけがビジネスパーソンの格を決めるということです。

会社も同じで全力で真っ向勝負を挑まないといけないということですね。