酒井光雄『コトラーを読む』日経文庫、2010年 定価 903円
日経文庫ですが、マーケティングの大家・コトラーの理論がコンパクトにまとめてありますので、しばらくこれを連載したいと思います。
コトラーは大家ですが、いかんせん著書が分厚すぎてビジネスパーソンが熟読して実践するには大変です。
本書はうまくまとめられていますので、これをさらに要約していきます。
・企業も個人も自らの価値を高めない限り将来が保証されない時代となった。
・マーケティングとは個人の能力拡張と自己実現にも応用できる。
・マーケティングとは、顧客の価値と満足を理解し、創造し、伝え、提供すること。
・企業の立場からは、顧客を満足させて、利益を得ること。
≪マーケティングの基本概念≫
①生産概念‥生活者は暮らしに役立ち、手ごろな価格の商品を求めているという考え方。いくら安くても商品に魅力がなければ生活者は指示してくれない。
②製品概念‥生活者はどこよりも優れた品質や機能の製品を求めているという考え方。
③販売概念‥販売活動やプロモーションを行うことで生活者は商品を購入してくれるという考え方。
④マーケティング概念‥生活者の願望や欲求を把握し、自社商品を通じて価値を創造し、生活者に満足を提供するという考え方。
⑤社会的マーケティング概念‥生活者に最高の価値を提供しながら、企業は社会と調和して人々の幸せを向上させるという考え方。
・企業にとって顧客とは、モノを売りつける相手ではなく、企業の収益を生み出す源泉。生涯にわたりパートナーとして大切にすべき存在である。-顧客起点の発想-
・経済が成熟すると既存顧客の重要性が高まる。顧客の生涯価値(ライフタイムバリュ)を重視する。 *新規客を獲得するコストは既存顧客維持のコストの5倍になる。
・既存顧客を大切にする。 スーパーの事例: 「ルール1 お客様は正しい ルール2 もしお客様が間違っているならルール1に戻る」
・他社と比較して期待以上に優れていると感じてもらえないと他社に乗り換えられる。コストと価値のバランス
≪顧客が感じるコスト≫
①金銭的コスト‥支払った金額
②時間コスト ‥入手するのに費やした時間
③エネルギーコスト‥商品の使用に伴って必要な電力などのコスト
④心理的コスト‥入手に際しての心理的手間や負担
≪顧客が感じる価値≫
①製品の価値‥製品が顧客にもたらす価値
②サービスの価値‥HPの使いやすさ、電話対応、接客など一連の顧客対応で認められる価値
③社員の価値‥顧客に接する社員がもたらす価値
④イメージ価値‥商品の印象・企業のブランドイメージなどの価値
・顧客満足について、万人を満足させることはできないので、自社の中核を担う顧客の設定が重要になる。‥ターゲット顧客の設定
・ターゲット顧客に感動を提供できれば、企業のブランド価値は確実に高まる。
・ブランド価値を向上できれば価格競争という不毛の地に、独自の企業ポジションを築くことができる。
(つづく)