2010年6月1日火曜日

ランチェスター経営について②

ランチェスター経営戦略のもととなっているランチェスターの法則は2つあります。
一つは「一騎打ちの戦略」でもう一つは「集中効果の法則」です。



第1法則「一騎打ちの原則」とは、軍隊同士の武器の性能が同じであるのならば、数が多いほうが勝というものです。当たり前といえば当たり前ですが。

具体的に言うと、A軍の兵力が5、B軍の兵力が3であるのならば、両軍が徹底的に戦うとB軍は全滅し、A軍は兵力2を残して勝利するというものです。 つまり、5-3=2 ということです。

一騎打ちとは刀や槍などを使って戦う場合、つまり一人が一人を相手にしか戦えないという状況の法則になります。




第2法則「確率戦闘の原則(集中効果の法則)」とは、銃器・火砲・航空機等が発達し、一人が多数の敵に対して攻撃が可能となった状況の法則です。

この場合には、A軍、B軍の戦力差は双方の力の二乗に比例するようになります。

A軍の5の戦力の二乗は25、B軍の3の兵力の二乗は9です。したがってこの場合、戦力差は圧倒的になるのです。

ちなみに25から9を引いた16は4の二乗です。

つまりこの法則の支配する戦いの場合、B軍が全滅したときにA軍は4の兵力が残っていることになります。


さて、A軍にしてみると第2法則で戦ったほうが得です。またB軍にしてみると第1法則で戦ったほうがより相手に深いダメージを与えることができます。

この第1法則から導き出されたのが「弱者の戦略」、第2法則から導き出されたのが「強者の戦略」ということになるわけです。この法則から経営戦略を立てるというのがランチェスター経営の本質的な部分です。




ところで日本の現代史のところでロンドン軍縮会議やワシントン軍縮会議の話として、米国、英国、日本が持ってよい軍艦の比率が5:5:3に定められましたが、日本はこの比率を5:5:4にしようとかなり粘ったという話があります。

私は昔は「どっちも大して変わらない比率じゃないか」と思っていたのですが、ランチェスターの第二法則によると戦闘力は二乗に比例するわけですから大きな違いなわけです。

つまり、25:9に落ち込むか、25:16の戦力比になるかは大問題なのです。

5:5:3ならば日本の海軍は物理的には米国、英国に勝つ可能性がほとんどないことになるわけです。