あらゆる企業が自らの強みを知り、そのうえで戦略を立てる必要がある。
何をうまくやれるか。成果を上げている分野はどこか。
しかし、ほとんどの企業が、あらゆる分野においてリーダーになれると考える。
だが、強みは常に具体的であって特殊である。
『乱気流時代の経営』より
ドラッカーは、企業の成果は強みと機会を結び付けることで生まれると考えています。
その大前提が自身の強みを知ることであるわけです。
ドラッカーは、その企業の強みは、非常に限定的な具体的な能力であると考えています。
ドラッカーのこの考えは、のちに「コア・コンピタンス」と呼ばれるようになりました。
強みを無視した戦略は陳腐なものになってしまうというわけです。
ところが、この原則は現実にはあまり守られていません。
とある研修でバランス・スコア・カードの事例を取り上げていたのですが、そこではSWOT分析でやたらと詳細な分析を重ねた挙句に、選択した戦略は「弱み」を手直しするというものでした。
できあがった戦略は無難ではあるけれど、なんら未来を切り開く展望を持たないものでした。
このような事例が「模範」としてテキストに掲載されているわけですから、いかにドラッカーの言葉は深く理解されていないかがわかります。