「ネクストワン(次の作品だ)!」
「あなたの最高の作品はなんですか?」と記者から聞かれた時のチャップリンの返答です。
トップレベルの人たちの発言は似ているものですが、ドラッカーもチャップリンと同じ返事をしています。
「今まで書いた数十冊の本の中で、どの本が一番良い良い本だと思いますか?」
「ザ・ネクスト!」 これがドラッカーの回答です。
この質問を受けた当時、ドラッカーは90歳を超えていました。
ドラッカーは作曲家のヴェルディが80歳の時にオペラの名作を書きあげた際に「次の作品こそが自分のベストだ」と述べていることを引用しつつ上記の発言を行ったのです。
ドラッカーは、プロフェッショナルの定義として、①完璧な仕事を約束できないが、最善の仕事を約束する ②知りながら害を与えない の2つの条件と提示しています。
一見簡単そうですが、実に深みのある条件です。
現時点におけるベストのパフォーマンスは、次回の仕事ではそれを超えていかねばならないわけです。
ですから、プロフェッショナルであるならば最高の作品は論理的に「ネクストワン!」になるのです。
さて、先週の研修で、この話をした際に私はこのように付け加えました。
「次の作品が最高の作品であるならば、二番目の出来栄えの作品はどれになるはずですか?」
この質問に対する論理的な回答は 「一番最近の作品」 となるはずです。
しかし、実際にそうなっているでしょうか?そうなってはいない場合が多いのではないでしょうか?
これが「最善を尽くす」ことのむずかしさです。以前のベスト・パフォーマンスを超えることができなかった場合には綿密な検討が必要でしょう。