田岡氏はランチェスターの法則に基づき市場シェアの目標値を設定しました。さらに進んで企業戦略を提起します。これがいわゆるランチェスター経営です。
主な前提
1、効率化・合理化のやり方には企業で大差はない。しかし、マーケティング戦略は違う。企業ごとに異なるべきものである。
2、強者と弱者に分ける。1位は強者、2位以下はすべて弱者。
3、強者・弱者は場面ごとに判断する。たとえばトヨタは自動車メーカーとしては強者だが、軽自動車の面では弱者である。
4、新規参入者は弱者である。
こうした前提とランチェスターの法則、マーケットシェアの法則から田岡氏は弱者の戦略を提起します。
弱者の5つの戦略
①局地戦で戦う
弱者は広い地域ではなく、せまい地域・エリアで戦うべき
②一騎打ちで戦う
確率戦闘を避け、一騎討ちの状態を作る。一騎打ちなら大手に勝つ可能性がある。
③接近戦で戦う
顧客との距離を縮めた戦い方をする。接近戦では強者は力を発揮しにくい。
具体的には、直販方式、川下作戦、地元を固める、スキンシップ重視など
④一点集中
物量に劣る弱者は資源を総花的に投入する愚を避けて、重点を定めて集中する。
⑤陽動作戦
敵の注意をかく乱し、自身の意図を見抜かれないようにする。
そして、弱者の戦略の裏を行くのが強者の戦略です。
強者の戦略(太平洋戦争におけるアメリカ軍の戦略)
①広域戦
弱者の資源の制約をついて、戦闘エリアを広げさせてしまう。
②確率戦
一騎打ちを避け、集団戦に持ち込んで相手が確率的に勝てる芽をつぶしていく。
③遠隔戦
販売戦略においては卸のフル活用と広告宣伝の強化がこれに該当する
④総合戦
すべての武器を利用して総合力で劣る弱者をたたく。圧倒的な量で戦うのがポイント。
総合戦では部分的弱点を消すことができる。
⑤誘導作戦
敵をこちらの都合のよい方へ導く作戦のこと。強者は弱者に自分のやり方を真似させるのが簡単な誘導作戦となる。
これが弱者の戦略・強者の戦略の骨子です。さらにランチェスター戦略には3つのポイントがあります。
①ナンバーワン主義
どこかの部分でナンバーワンとなる。具体的には2位と1.73倍以上の差をつける得意な領域を作る。
②弱者優先攻撃
強者と争わず、自身より弱いものをたたく。また強者に対しては相手の弱点をつく。
③一点集中主義
市場を細分化し、その中からシェア40%をとれるまで攻撃を続ける。
これがランチェスター経営の概要です。