ファーストりテーリング(ユニクロ)の社長である柳井正氏の著書に『一勝九敗』があります。
要するに柳井氏は次々といろいろなチャレンジをしてきたけれど成功率は1割ぐらいでしたという話をモチーフに、ユニクロが現在に至るまでのプロセスを語っている本です。
ご承知のように柳井氏はドラッカー経営を実践する経営者ですので、端々に深みのある発言が多数ありますので、何回かに分けて紹介したいと思います。
まず、会社論です。
そもそも、最初にビジネスチャンスがあって、そこにヒトやモノ、カネという要素が集まってきて、会社組織という見えない形式を利用して経済活動が行われる。
しかし、経営環境は常に変動する。
当然のことながら、金もうけやビジネスチャンスがなくなることがある。
そうすれば会社はそこで消滅するか、別の形態や方策を求めて変身していかざるを得ない。
会社とは一種のプロジェクト、期限のあるもの、と考えるべきではないだろうか。
(柳井正『一勝九敗』より)
柳井氏は会社プロジェクト論という考え方をお持ちのようです。
実は、私は中小企業は社長が活動する間継続する長期プロジェクトであるという考え方を12年ほど前に思いついたことがあります。
仮に40歳前後で社長となり、65歳前後ぐらいまで一線でやるとした場合には、25年のプロジェクトとしてとらえるというものです。
その場合、25年後に会社をたたむのか、後継者に譲るのかも含めてビジョンを持つ必要があると考えたわけです。
私の着想は中小企業は社長の個性が経営に色濃く出ますので、社長の活動期を20~30年と考えたうえでの『中小企業プロジェクト論』を構想したわけです。
ただし、柳井氏の視点はさらに厳しく、会社の賞味期限が切れたらプロジェクト終了というものです。
会社はもともと期限のあるものと考えるべきで、新しい事業の芽を出し続けない限り、賞味期限が切れたらそこでおしまいなのだ。
(柳井正『一勝九敗』より)