今回の研修を準備するに当たり、全体の骨格として構想したものはおおよそ次のようになります。
(前提)
ビジネスパーソンは成果を上げねばならない。
企業は成果を上げねばならない。
したがって、あらゆるビジネス行動は成果の視点から検討されねばならない。
(各論)
オフィスの掃除やコスト管理といった一見すると当たり前のテーマも深掘りすると成果に行きつく。
①オフィスの環境整備
- オフィスの環境整備の目的は、ビジネスパーソンの生産性をあげることにある。
- 環境のコントロール状況は、現時点の生産性を示している。
- 違和感の発生は、役割分担の不適切さ、モチベーション・モラルの低下、環境変化に対応する行動変更が存在しない、といったことが背景にある。
- 環境整備を細かく見るだけで、ビジネスの現状がある程度読める。逆にいえば環境を整えていくことでビジネスの現状をよくすることができる。
- 環境整備は企業の目的達成に向けて日常業務を微細にコントロールするものである。
②コスト管理
- コスト管理はコスト削減の視点ではなく、対業績比を最大化する視点が必要。
- 現時点は乱気流時代である。次が読めないが「構え」をつくることはできる。(ドラッカーの主張、コトラーが発展)
- 「構え」とは現状の業務の生産性を上げ、資源の余裕を作り、それを機会に集中投入する体制をつくること。
- 以前と同じやり方・レベルの仕事は顧客満足を低下させる。常に前より良い仕事をする。
- コスト管理とは、常に前より良い仕事を前より少ない資源で成し遂げ、新しい打ち手をできる限り打ち、その成果を最大化させること。
- コスト管理の最大のポイントは人の動き、特に時間の使い方。
- コスト管理は成果に目を向けていないと、本末転倒となる危険がある。
単なる掃除や無駄遣いのチェックの心構えの話ならわざわざ研修を行う必要はありません。
最終的な組織の成果にいかにかかわっているかについて触れなければ意味がないと思います。
マネジメントにかかわる研修はいずれも企業の目的達成、つまり戦略的視点に基づいて行われるべきであるというのが私の考えです。
研修受講者はIT系の技術者が多いと伺っていましたので、こうした「文科系的」な話がどのように響くか若干懸念がありました。
もちろん、実際の研修は上のような抽象的な感じではなく、できるだけ身近な事例や表現に置き換えたのですが、骨格はほぼ上記の通りです。
しかし、アンケート結果をみると、大半が好意的な反応であったので私もホッとしました。
ドラッカーは組織やビジネスパーソンが成果を上げねばならないことを基本に、ビジネス上のあらゆる項目を体系的に整理しました。
ですから、ドラッカー経営を提唱するとビジネスシーンのあらゆるテーマが最後は必ず成果に結びつける形で説明できるわけです。
私の場合ですと
環境整備、コスト管理の他に、成果、利益、コミュニケーション、目標、リーダーシップ、達成、貢献、役割、責任、マーケティング、イノベーション、生産性‥‥
といった言葉のドラッカー的定義を丹念に読み取り、実際のビジネスシーンに当てはめるとどのようなアクションにつながるのかを検討してお伝えするというのが基本となっています。