ほとんどの人は、二次的な仕事を後回しにすることで自由な時間を作ろうとする。
しかし、そのようなアプローチではたいしたことはできない。
心の中で、また実際のスケジュール調整の中で、重要でない貢献度の低い仕事に依然として優先権を与えてしまう。
時間に対する新しい要求が出てくると、自由な時間や、そこでしようとしていた仕事のほうを犠牲にしてしまう。
数日あるいは数週間後には新しい危機や些事に食い荒らされて、せっかくの自由にできる時間は霧消している。
「経営者の条件」より
つまり仕事の順番に注目するだけでは時間管理ができないということです。
では、何をするべきか?
まずはじめに本当に自由な時間がどれだけあるかを計算しなければならない。
次に適当なまとまりの時間を確保しなければならない。
そして常に生産的でない仕事がこの確保済みの時間を蚕食してはいないかと目を光らせなければならない。
「経営者の条件」より
つまり、①自由な時間の割り出し ②まとまった時間単位にする ③バラけるのを防ぐ ということです。
これはかなり自覚的な努力が必要です。
朝仕事を始めるときになって「さて、今日は何をしようかな?あれをしようかな?これをしようかな?」といった仕事ぶりは許されないということです。
仕事開始時には、今日はどれだけの雑務があり、自由な時間は何時間あるのか?それをどのように使い、それに対する成果・期待・目的は何かが明らかになっている必要があるということです。
すると前日の夜か当日の早朝にはこれらの時間計画が割り出されていなければならないわけです。
これが肉体労働者と知識労働者の違いです。
単なる作業であればひたすら設定された能率向上を目指せばよいわけです。しかし、仕事であれば時間管理を磨きあげてより大きな成果を目指さなければならないわけです。
私は仕事と作業をこのように区分して考えています。
時間を徹底的に活用し、大きな成果をあげようとする人は仕事に入る前に段取り、つまり時間計画が立案されていなければならないわけです。
(浅沼宏和)