2011年3月14日月曜日

◇大震災で再浮上する東京電力のコンプライアンス問題

3月11日に東北地方を中心に大震災が発生しました。被災された方々には謹んでお見舞い申し上げたいと思います。

危険な状態にある福島第一原発
ところで3月14日の時点で、東京電力の福島第一、第二原子力発電所が危機的な状況となっており、今後の推移が注目されています。

この時点で時期尚早かも知れませんが、東京電力のスタンスについて若干付言しておきたいと思います。


東京電力は2002年にコンプライアンス違反事件を起こしています。

今、問題となっている福島の二つの原発のほかに新潟の柏崎の原発も含めた3か所で、事故隠しを行ってきたことが発覚したという事件です。

当時、私は内部統制について本腰を入れて研究していた時期で、東京電力の対応について非常に注目しながら見守っていました。

今では当たり前になっていますが、コンプライアンス違反事件の適切な対応の基本は情報開示と事後の完璧な予防措置の実施です。

事故隠しの件はかなり悪質でした。しかし、その後日経新聞等で全面広告を打って発表された内部統制及びコンプライアンスの仕組みは見事なものでした。

教科書にしてもいいぐらいのないようでしたが、私は事故隠しの悪質さと見比べて「本当にこれができるのか?」と疑問に思っていました。

この件についてはその後、あちこちでCSRについて発表や講演をする機会を通じて述べてきたところです。

そこで、今回の震災に関して原発の情報開示、首都圏における節電についての広報のやり方が稚拙であることを目の当たりにし、東京電力が本質的に生まれ変わっていなかったのではないかという疑念がわいてきました。

ポイントは企業体質です。


この件につきましては、震災が一段落した時点で、リスクマネジメントの基本とともに改めて検討したいと思っています。


(浅沼 宏和)