共同割引のクーポン販売で有名なグル―ポンは米国企業です。
今年の正月におせち料理の販売でトラブルを起こし、ニュースで大々的に取り上げられたことは記憶に新しいものです。
その米グル―ポンのCEOメイソン氏が日経ビジネス2011.3.17の「敗軍の将、兵を語る」のコーナーで謝罪を行っていました。
タイトルは、そのものずばりで 『 おせち届かず、すみません 』 です。
その骨子は次のようなものです。
・おせち料理のトラブルの件は全面的にグル―ポンの責任である。本来、CEOである自分自身が個別にお客様を訪問して謝罪すべきものであるが、物理的に無理であったため誠心誠意の謝罪の気持ちをビデオレターに託して伝えてある。
・お正月やおせち料理がいかに日本文化に根付き、人々がそれを大切にしているかについては十分に理解している。それだけに大変申し訳なく思っている。
・今回の失敗の原因は、おせちの販売数の設定と内容・品質の管理が甘かったことにある。二度とこうした問題を起こさないように早急に運営を改めていく。
・日本では、米国に比べておせち料理のように時間に敏感な取引が多いことに会社がまだ慣れていなかった。時間に敏感なビジネスになれる必要を感じている。
・今回のミスに対しては謝ることしかできない。「グル―ポンの約束」は問題が起きたり、ひどい体験をした場合にはきちんと返金するというもの。気分を少しでもよくしてもらうために対応したい。
といった趣旨の内容で、メイソン氏の表明内容は、起きてしまった失敗に対する責任の取り方としては妥当なものであると思います。
日本の有名企業の多くが事故の事後対応において責任を認めない態度をとったために致命的なダメージを負うケースが多々ありました。
それに比べると米国企業のコンプライアンス対応は洗練されているという感じです。
*(このサイトでメイソン氏の謝罪の映像がみられます。)⇒http://info.groupon.jp/topics/20110117-515.html
社会的責任という場合、法的責任だけではなくそれ以上の倫理的責任があるということは少しずつ認識が広がっているようです。
しかし、こうした事例を見るごとに気を引き締めることはすべての企業にとって必要であると思います。
失敗から学び、二度と同じ過ちを起こさないように全力を尽くす
ということを約束するというCEOの締めくくりの言葉は、ドラッカーの「真摯さ」「最善を尽くす」という言葉の定義そのものであると感じました。
ドラッカーは、完璧な仕事は約束できない、しかし、最善を尽くすことは約束できる と述べています。
グルーポンがこのコミットメントにどう取り組んでいくか、見ていきたいと思います。
(浅沼 宏和)