2010年4月19日月曜日

◇花王・後藤卓也元会長の講演会

先日、Shizuginshipの研修がありました。講師は花王の元会長・後藤卓也氏です。

ブランドづくりのうまさで定評のある花王ですが、後藤氏のお話はいかにも技術畑出身という地道なものでした。

以下、私のメモをまとめたものです。



花王の理念「よきものづくり」「絶えざる革新」「正道を歩む」
・理念をうたい上げた以上、長い視点が必要。
利益ある成果を続ける強くてよい会社であること

・適切な利益を上げる⇒どう使うか? 4つの使い道 ①次の商品開発 ②社員が安心して働ける会社づくり ③適切な株主との関係 ④税金を払う義務
適切な利益を上げることは企業の義務
・財務的安定性だけを目標にしない。定性的目標の大切さ。知的資産の中でも特に人的資源。
人的資源が最も大切

会社の強さは「どれだけ多くの人が主体的にモノを考え、実行に移していけるか?」にある
・バランスシートに表れてこない「社員のやる気」をいかに引き出すか
・事業がうまくいくには『総合力』を発揮できるかどうかがポイント
総合力‥‥ニーズ・ウォンツを発掘する力、具体化する研究開発力、生産力、物流、営業力、千電力‥

・花王のヒット商品の背後には屍累々
・失敗した商品には一連の流れのどこかに欠陥があった
・ラインも重要だがスタッフも重要

・社長にスポットライトが浴びがちだが、地道な仕事をこなす現場も評価する
・仕事はどんなに美辞麗句を並べてみても脇が甘いところがあればアウト
・深める(コア技術で勝負)⇒ 広める(蓄積が生まれる)⇒ 融合する(新技術が生まれる)⇒ 技術の多面的活用という好循環

・日本は高コスト体質。ひたすら同じものを作り続けていくというやり方はもう通じない。
・知恵が足りない
・「生産サイドには生産サイドにしかわからない工夫があるはずだ」
・大企業はオーケストラ型組織ではダメ、ピラミッド型組織でなければならない。

・中間管理職不要論はおかしい、絶対に必要だ
・メッセンジャーボーイのような中間管理職はいらない
・上に立つ人のパーソナリティが大切
・リーダーは大事、資質を持った人を探し出して育てる
・リーダーの宿命「自分を伸ばすのは自分しかいない」

・情報洪水の中で判断できる人であること
・フォロワーはどうするか?貢献を考えさせる
・社員に対して言うべきこと「あなたの夢を会社の夢に合わせてください」
・具体的な夢を持っていない社員こそ今の仕事に全力を尽くすべき

・オーナー社長には信念がある。サラリーマン社長である自分とは違っている。
・オーナー企業にはがんばってもらいたい、特に後継者育成は重視してほしい
・ヒット商品が生まれるコツは好奇心だけ-「こんなことができたらいいな」
・最近は健康に関するもの以外にあまりアイディアが出てこない

・イノベーションのもとは継続的改善
地道な活動を全体最適を目指して行う
基本の徹底、健全なる危機意識が大事
「凡を極めて非凡に至る」
・リーダーが毎日同じ話を繰り返しするのは、できていないからとあきらめずに訴え続けるから


こうした考えについては、後藤氏は長年の経験から帰納的に原則を見つけ出されたようで、特に影響を受けた人物や書物はないということでした。