2010年4月14日水曜日

サービス業務の品質-リスクマネジメント型の品質管理

当事務所は品質ISO(9001)のフレームワークを基本に業務ルールを作っています。

専門サービス業の業務品質を定義することは難しいのですが、私はリスクマネジメントの視点から定義をしています。

やり方としてはまずアクシデント(事故)を定義し、そのリスクをコントロールしようとするものです。

アクシデントは次の3段階に分けています。

レベル3‥最大級の損失の発生

レベル2‥相当程度の事後対応が必要

レベル1‥具体的に問題と認識できる事態の発生

品質目標をそれぞれのレベルに対して設定するのが品質管理の基本となります。
ただ、それだけでは受け身になってしまいますので、もう一工夫しなければなりません。

それがヒヤリ・ハットの管理です。

ヒヤリ・ハットというのは、アクシデント(事故)発生すれすれの事態を指します。

労働災害分野にはハインリッヒの法則という有名な原則があります。

大事故1件が起きるまでには小事故29件ヒヤリ・ハットする事態が300件発生しているというものです。
この原則を使うと明確なリスクマネジメントが可能となります。


つまり、ヒヤリ・ハットを適切に認識して、その時点で同じことが二度と起きないように具体的な対策をとります。対策をとったヒヤリ・ハットについては大事故が起きない理屈になります。

しかし、同じ結果を起こすようなヒヤリ・ハットがまた起きたら、その対策では不十分であったわけですから、さらに別の対策を講じます。
これを継続的に行っていれば、大事故発生以前のヒヤリ・ハットの段階でリスクを抑え込むことができるわけです。

日報などによってヒヤリ・ハットを継続的に報告してもらうことをルール化しておけば、細かい改善を行うことも自動的にルールとなるわけです。

ヒヤリ・ハットとは一言でいえば「異常」のことです。

人間の行う作業では必ず異常なことが発生します。しかし、一見するとささいな出来事なので、スキルの低い人は流してしまう傾向があります。

こうした傾向を持つ人は「問題ありません」という発言の多さや日報への記載内容からすぐにわかります。

「問題ありません」という報告をずっと続けている人は、突然レベル2や3のアクシデントを発生させる可能性があると考えられます。


ここから、「問題ないのは大問題」という原則が引き出されます。


これが当社の考えるリスクマネジメント型の業務品質管理の基本思想です。

この考え方はISOにもかなり役に立ちます。