日経ビジネス2010.4.5号は相続税についての特集が載っていました。
相続税の問題は中小企業の事業継続性に直接かかわる大論点です。
ということで特に鳩山政権の相続制構想について簡単に説明しておきたいと思います。
・「自由主義国家が私有財産を否定するような制度を作ることは好ましくない。しかし、現状は昭和21年度なみの格差が生じている。「貧困の世襲」を直すという目的で、相続税制の見直しが必要。」(野田佳彦財務副大臣)
・「相続税」から「遺産税」への移行を検討中。つまり、相続財産から税金を天引きし、残りの財産を相続人に分ける仕組みにする大転換をしようということ。
・相続税の対象は現在、国民の4%程度だが、これを10~15%程度に拡大することを検討。
・1000万円以上の金融資産から一律5~10%程度を徴収することを検討。
・現在50%の最高税率を引き上げることを検討。
こうした鳩山政権の構想について日経ビジネスは、カナダ、イタリア、オーストラリア、ニュージーランド、スウェーデン、マレーシア、シンガポール‥といった国には相続税がない点を指摘します。
これらの国が相続税を課さない背景には事業承継の妨げになってはならないという考えの他、広く海外から事業家や富を集めたいという目論見があるというわけです。
民主党内にも、担税力のある個人や企業が資産課税のない香港やシンガポールに拠点を移していることを懸念する話が出ているようです。
しかし、それでも相続税増税の議論が避けて通れないという判断の裏には、消費税増税を国民に納得させるには、まず『金持ち増税』を行うという民主党の判断があるようです。
いずれにしてもかなり長期的ビジョンと大局観が必要であると思われますが、政権の基盤が揺らいでいる現状ではなかなか好手がみつかりにくいのではないかと思います。