2010年1月3日日曜日

書評 「ドラッカーと経営 09年 逆境を超えて (上)」

新年おめでとうございます。

日経新聞の年末最後の二日間の経済教室のテーマは「ドラッカーと経営 09年 逆境を超えて」でした。

最後の締めくくりにドラッカーが特集されている点が印象的でした。

初日の30日は神戸大学教授の加護野忠男氏です。

その論旨は以下の通りです。

経営環境の悪化で上場企業の経営者は熱心に利益を追求せざるを得なくなったが利益は蜃気楼のようなものである。


良いことをすれば利益は後からついてくるという基本をドラッカーを読み直して学ぶべきである。


利益は目的ではなく制約条件でしかない。企業の目的は顧客の創造であるとドラッカーは述べている。


成長機会は見つけるのではなく自ら作り出すよう肝に銘じるべきである。

とまあ、ざっとこのような内容でした。

ドラッカー経営の基本中の基本を確認するといった意味になると思います。

ただし、加護野氏は「企業の目的の定義が一つしかない。顧客の創造である。」という点については議論の余地があると考えているようです。

しかし、ドラッカーはその下位の目標については8つの目標を設定しています。それらの目標を集約する最終方針が「顧客の創造」というわけです。



最近読み直してみた司馬遼太郎の『坂の上の雲』にも、「海戦において二つの目的を設定してはならない、日本海海戦における日本の戦略目的は明瞭であった」といった意味のことが書かれていました。


私はドラッカーが組織の目的を単一化し、ブラさなかったことのほうが利点は大きいと考えています。