昨日、GMの失敗をミッションステートメントとの関係で少し触れました。
ドラッカーは次のように述べます。
未来は、望むだけでは起こらない。そのためには、いま決定をしなければならない。いま行動し、リスクを冒さなければならない。
(『エッセンシャル マネジメント』p.37)
そのために戦略計画が必要であるといいます。
戦略計画が何であるかについてドラッカーは多面的に検討しています。
・戦略計画は魔法の箱や杖ではない。思考であり、資源を行動に結びつけるものである。それは手法ではなく責任である。
・戦略計画は予測ではない。未来は予見できない。予測は可能性とその範囲を見出すものだが、企業は予測の基礎となる可能性そのものを変えなければならない。
・戦略計画は未来の意思決定ではない。意思決定は現在においてしかなしえない。最大の問題は明日何をすべきかではなく「不確実な明日のために今日何をなすべきか」である。
・戦略計画はリスクをなくすためのものではない。より大きなリスクを負担できるようにすることである。
こうした検討の結果、ドラッカーは戦略計画を次のように定義します。
①リスクを伴う起業家的な意思決定を行い
②その実行に必要な活動を体系的に組織し
③それらの活動の成果を期待したものと比較測定するという連続したプロセスである。
ここで、「最善の戦略計画でさえ、仕事として具体化しなければ、よき意図にすぎない。」という話につながってくるのです。
計画するだけではなく、実行し、その結果をチェックするというところまでを含めて「戦略計画」というわけです。
GMの失敗は戦略計画を仕事として具体化しなかったということであると言えるでしょう。
ドラッカー経営は大きく分けると、組織のマネジメントとヒト・仕事のマネジメントという2つの側面があります。
このブログではずっと組織のマネジメントを扱っています。そしてその最大の目的は「戦略計画を実行する」ということの意味を明らかにすることにあります。
ドラッカーの理論は哲学的な面も多分にありますし、理論体系としても大きなものですので、部分的な検討を積み重ね、それをまた再検討しというプロセスを繰り返す必要があると思います。