以前に会計事務所の市場規模の推定をやりました。
同じような分析を社労士事務所でやってみましょう。
今度は以前よりもっと簡単にやってみます。
静岡県西部地域の社労士事務所の市場規模は次のように推定されます。
1県西部地域の開業社労士数237名(社労士会HPより)
2社労士の平均収入約600万円(厚労省資料より)
以上から単純に推定すると、市場規模は約14億2千万円になります。
名簿によると県西部地域のうち浜松にいる社労士の比率は4分の3ですから、その点では開業税理士と同じ構造をもつことになります。
そして、会計事務所業界が約120~130億円と推定していましたから、市場規模はほぼ9分の1程度であるとなります。
しかし、上の数字は実感として少なすぎます。おそらく厚労省のサンプルの取り方に誤差が入っていると思われます。
別途資料として、年商別の分布として5千万円以上、3千万円以上、1千万円以上、500万円以上、それ以下の比率がわかりますので、それぞれのグループの平均年商を推定するやり方で計算しなおしてみます。
すると、平均年商は、850万円~1千万円と推定できます。
したがって静岡県西部地域の社労士事務所の市場規模は20億円~24億円ということになります。
この結果から会計事務所の市場規模の5分の1から6分の1とみることができます。
専門サービス業はほぼ年商=付加価値ですので、他業界に比べると相当少なめになりがちです。
しかし、それを割り引いても市場が結構小さいことが分かります。
多くの社労士が保険代理店を併設する理由はこうした点にもあるわけです。
パレートの法則(80:20の法則)に当てはめて業界の上位2割ラインを推定すると、年商1500万円、高付加価値事業所のラインは年商4000万円といったところになるでしょう。
その一人当たり粗付加価値をかなり高めの900万円とすると人数4.4人と割り出されます。
そこそこの水準の社員5人以上の体制を組めた社労士事務所は経営的にかなり安定しているであろうと推定されます。
これで市場規模と社員数だけをもとにした業界内生き残りラインの推定事例を2件ご紹介したことになります。
やり方はどの業界についても基本的には同じです。
この程度の情報がわかるだけでも経営方針を決める際には大きな力になります。