ドラッカーが主張する企業の基本機能の一つ目はマーケティングです。
マーケティングの大家・コトラーもドラッカーこそが現代的マーケティングの提唱者であると述べています。
販売とマーケティングは逆である。‥‥もちろんなんらかの販売は必要である。だが、マーケティングの理想は販売を不要にすることである。
マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。
(『エッセンシャル マネジメント』p.17)
販売とマーケティングが違うものであることを主張したことは画期的であったと思います。
販売とは、現にある製品・サービスを売ることであり、プロダクト・アウト(製品の視点)の発想であると思います。
一方、マーケティングについてドラッカーは次のようにも述べています。
真のマーケティングは顧客からスタートする。すなわち、顧客の現実、欲求、価値からスタートする。「われわれは何を売りたいか」ではなく、「顧客は何を買いたいか」を問う。
(『エッセンシャル マネジメント』p.17)
このようにドラッカーは顧客の視点でマーケティングをとらえています。いわゆるマーケット・インの発想です。
このような意味でのマーケティングこそが、企業の目的=顧客の創造のために必要とされると考えられています。
マーケティングの究極の理想「おのずから売れる」ようにするためには顧客を知り、その視点から製品・サービスを作り、その価値を適切に顧客に伝達する。
このような意味でのマーケティングは営業担当の部署だけが行うものではなく、全社的に一貫性をもった活動として行われる必要があるということです。
販売とマーケティングの混同には特に注意が必要です。