戦略を考える前提として、自社の現状について把握する必要があります。
自社の現状分析にはツールとしてSWOT分析が使われることが多いようです。
しかし、このSWOT分析を使いこなすのはなかなか難しいと思います。
SWOTとは強み(Strength)、弱み(Weekness)、機会(Oppotunity)、脅威(Threat)の頭文字のことです。
これを縦横2マスずつの表にして、自社の状況に合わせて書き込んでいくというものです。(ブログに図表を差し込めないので文章だけの説明で恐縮です)
この表を埋めていくのはなかなか大変です。どうやって埋めていいかわからないという話も聞きます。
大汗をかいて作成したところ、同業者と似たり寄ったりの表になってしまったという場合も多いでしょう。
まず、強み、弱み、機会、脅威というのは主観によって違ってきます。
強みと弱みは裏腹の関係です。
またピンチは人によってはチャンスでしょう。
ですからSWOT分析の内容を記入する段階では、すでに判断が終わっている必要があるわけです。
これがSWOT分析が難しい理由です。
しかし、何の書式もないよりはいいかもしれません。
ドラッカーは現状を考える場合、強みと機会の組み合わせだけに注目すればよいと指摘しています。
弱みは無視しろとまでいっています。
あれこれ瑣末なことを事前に考えて行動に移ることを遅らせるよりは
①自社の現在と将来の強みを明らかにする
②自社の強みを投入すべき機会を明らかにする
の二段階程度で考えれば十分ということでしょう。
このほうが簡単なので当社ではこのやり方をしています。
とりあえず上の二つを決めて、実際にマネジメントしていく中でどんどん修正をかければよいという考え方です。
さて、話を戻して自社の強みを機会に投入して業界内でのポジションを確保するために、まず最低限必要な分析を考えてみたいと思います。
単純に言い切ってしまうと規模(人数)もしくは売上高において業界内の上位20%に入っている企業は経営が安定しやすいので、まずそれを割り出そうということです。
これはパレートの法則という有名な基準に基づくものです。
もともとは人口の上位20%が富の80%を所有しているということをいうものだったのですが、この比率がいろいろな場合にも当てはまるので便利に使われているのです。
この基準に基づく場合、「同業者の平均並み」であることは「負け組」に入っていることと同じ意味になります。
下位80%は負け組というわけです。
ただし、同業者と比べて明らかに違った特徴があれば話は別です。他者がマネできないビジネスを展開していれば小さくても高収益企業は実現できるでしょう。
しかし、ここではその話は置いておきます。
その場合でも、零細規模(10人以下 *サービス・飲食5人以下)は脱することは必要であると思います。
「これが普通かな?」と思える数字の2~5割増しの数値を意識しておかないと、いつのまにか「負け組」に入ってしまっている可能性があるでしょう。
そのため業界の現状を数値によって明らかにし、それを意識した戦略的目標(中期・短期)を考える必要があります。
これだけでは良くわかないと思いますので、次回は当社の事業の一つである会計事務所というビジネスを例にして実際に業界分析をしてみましょう。