ドラッカーは利益の特質を4つあげています。
①利益は成果の判定基準である。
②利益は不確実性というリスクに対する保険である。
③利益やよりよい労働環境を生むための原資である。
④利益は、医療、国防、教育、オペラなどの社会的なサービスと満足をもたらす原資である。
このように、利益は社会的に必要不可欠なものであるので、企業は利益を上げることについて弁解する必要はないと述べています。
また、利益は原因ではなく結果であり、マーケティング、イノベーション、生産性の向上の結果手にできるものであるといいます。
では、「企業の目的は顧客の創造であり、利益は目的ではなく条件である」というドラッカーの基本命題との関係はどのように考えるべきでしょうか?
個人的な意見ですが、利益は結果としては重視すべきであるが、経営活動の行動という側面からは目的とすべきではないという意味と考えます。
アクションプランの結果は最大化しつつ、その結果である利益の意義は別途にじっくりと検討すべきであるということです。
少し微妙な表現ですが、マネジメントの成果のチェックの視点としてアクションの成果と結果的な利益は別途に考えるということです。しかし、最終的には総合的に判断するということにはなりますが。
たとえてみると、野球選手の打撃の調子と打率の関係が近いように思います。
イチローがインタビューで、打率を気にするより自分のスウィングの感覚についてよく話をしているのを見ます。
もちろん、打率が落ちるのは調子が悪い結果で無視できないわけです。しかし、日常の取り組みとしては、フォームであるとかタイミングの取り方に集中しているはずです。
その手ごたえのほうが重要なわけで、打率はその結果の判定基準というわけです。
無視できないが、あえてリンクさせないという感覚がなんとなく伝わるでしょうか。
そこから、私は戦略的アクションプランを重視するようにバランススコアカードを利用するときは財務の視点を下位に引き下げるか、もしくは予算管理として別途に考えるべきではないかと思っています。
そのほうがアクションと結果の評価という異質な手続をうまく取り扱えるように思います。
私は会計専門家としての立場から、中小企業の予算管理の難しさについてはずっと問題意識を持っていました。
アクションプランと利益目標を整合しようとすればするほど、全体的にはアンバランスになりがちのように思うのです。ですから、あえて予算管理と戦略的取り組みを別途の枠組みにしてみようと思ったわけです。
これはかなり変則的なバランススコアカードの利用法ですが、実際にやってみるとかなり使い勝手がよいと思います。
詳細はこれから折に触れて書いていきますし、また7月に発行される雑誌にはこの論旨で発表しようと思います。