日経新聞経済教室12月31日の「ドラッカーと経営 09年 逆境を超えて」の二日目の論考は経済評論家の田中直毅氏によるものでした。
論旨は以下の通りです。
リーマンショック前の生産水準に回復することは容易ではない。
企業は時代を見据えた製品やサービスを的確に市場に送り出せるのかという課題と真正面から向かわざるを得なくなった。
ドラッカーは日本が工業社会化に成功したがゆえに知識社会への取り組みが遅れると予測していたが、経済低迷でその遅れが倍加した。
知識社会には高い専門性を持つ人材の選択と評価とが欠かせない。これからは企業内における「プロ」の存在が決定的に重要になる。
そのうえで顧客本位の視点での製品・サービスの設計、企業内制度の見直し、経営資源の絞り込みといったことが求められる。
といった内容でした。
特に知識社会へ移行するために個人がやるべきこと、企業がやるべきこと、社会全体が取り組むべきことをそれぞれ提示している点は良かったと思います。
二日間の論考を比較すると、田中氏の論考のほうがよりドラッカーを咀嚼しているように思われました。
現状を分析し、ドラッカー的視点でもって再統合を図っている点はいかにも「ドラッカー経営的」であると思いました。
昨年はドラッカー生誕100年という意味もありドラッカーが注目されましたが、これだけ景気が低迷してくるとマネジメントの責任が大きくなります。
その指針としてのドラッカーは本年のほうがより注目されてくると思います。