小企業であっても経営者は明確で具体的なマネジメント活動を行う必要について書きました。
経営者の役割について考える場合、課題は企業によって違っています。その課題を導き出すための視点は次のように自問自答することであるといいます。
「会社の勝ち残りに必須の課題のうち、経営層にしか対処できないものは何か?」
「事業全体を眺め、現在と将来のニーズを調和させ、的確な最終判断を下せるのはだれか?」
(『マネジメント 務め、責任、実践 Ⅳ』p.29)
ドラッカーは、理想的な経営体制を議論することにはあまり意味がないといいます。
その時々で自社にとって適切な行動をとるのが理想的な経営トップなのです。
必要なのは個々の企業の具体的分析に基づいた、その企業の実情に合った理論でなくてはならないということです。そして何より戦略との調和がとれていなければならないのです。
こうした仕事を適切にこなすためにはかなりの力量が必要です。
天才的な感覚で商機をつかむというような経営スタイルをドラッカーは否定しています。
着実で困難な膨大な作業を根気よくこなしていく能力こそ経営者に求められているということであると思います。
ドラッカー的な経営とは、経営者が頭と感覚を酷使することが大前提になっています。
この苦労に耐えることが経営者に必要とされるわけですね。