2011年2月7日月曜日

ユニクロ失速のニュース

1人勝ちを続けてきたユニクロ(ファーストリテーリング社)の業績に陰りが出ています。

2010年8月以降、5か月連続で売上高が前年割れを起こしているそうです。

私は何社かずっと観察を続けている企業があるのですが、ユニクロはその代表格です。


この点について週刊ダイヤモンド2011.2.5号で特集がなされているので、簡単にまとめます。

08年のリーマンショック後、ユニクロは3つの追い風によって1人勝ちの構図を作った。

(ユニクロ1人勝ちの理由)

①不況による消費者の低価格志向

②ヒット商品(ヒートテック)

③ファストファッション・ブーム

世界同時不況で、消費マインドが一気に冷え込み、消費者はひたすら価格を追い求めるようになった。そのため低価格と高品質を両立させたユニクロが消費者の心をつかんだ。


(昨年夏からの失速の理由)

・2010年2月に満を持して投入した新ジーンズブランド「UJ」の失敗。 ⇒ 「表面的なファッションに走り過ぎた」との反省の弁 ⇒ 結局、2010年はヒートテックに次ぐヒット商品は生まれなかった。

・消費マインドの変化 ⇒ 消費者が価格一辺倒に走ったため同質化が進んだ。そのため差別化にお金を使おうとするマインドに変わった。⇒ 百貨店に客が戻りつつある


(総評)

ユニクロのビジネスモデルは大きなロットで委託工場に発注した商品をすべて買い取ること。

それによって、高品質低価格の商品提供ができる。
このモデルを支えるのが商品をすべて売り切る強力な販売力。

ただし、大きなロットで作りこむため、想定より売れなかった場合、大量の在庫抱え込みが発生する。

また商品ラインの絞り込みには1年近くの時間をかけているためUJの失敗からの軌道修正にかなり時間を要するとの観測がある。

対する大手アパレルは消費マインドの回復を追い風に付加価値をさらに高めたラインアップを強化する予定。



消費者の価値観がリセットされ、市場が混然一体となっている中で、それぞれの企業がどのような住み分け方をしていくかが注目されるとのことでした。

社長の柳井正氏は、ドラッカー経営の実践者として第一人者です。

今年の動向には要注目ですね。


(浅沼 宏和)