2010年3月29日月曜日

リコー流の「改善」論

日経ビジネス2010.3.29号にリコーの改善についての記事が載っていました。

記事は副社長であり、全社構造改革を担当している遠藤紘一氏へのインタビューの形式をとっています。概要は以下の通りです。


・不況期の現在、起死回生のV字回復を狙う議論が多いが、日ごろから努力を重ね、こつこつ改善活動に取り組んだ経験のない企業には改革のような大手術を遂行することはできない。

・社員一人が一日100円削減する改善を行うと、一人当たり年間2万円を削減できる。リコーの全社員がこれを実行すると削減額は21億7千万円にのぼる。

・10年ぶりに東京に行った人はその変わり方に驚嘆する。しかしそこに住む人は変化を感じないもの。日々の小さな変化を継続すれば当事者も気づかぬほどの大きな変革がもたらされる。

・想定外の危機であっても、その兆候をできるだけ早く察知することが大切。

・100円の価値を重く見ず、道端に落ちている100円玉を拾おうとしない人に改善を実行できるはずがない。

・人間は機械と違いプログラミングされていない異常を感じ取ることができる。問題はそのセンサーを使おうとしない人が多いこと。「余計な仕事を増やしたくない」というのがその理由。

・平時に育った人は「何か新しいことに取り組まなくても何とか過ごしていける」という思いが強い。危機意識の欠如。

・改善しない人の決まり文句は「仕事が忙しすぎて新しいことに取り組む余裕がない」

・改善の精神を身につけることができる人は一部。経営者「全員ができなくてもよい」と割り切ることが必要。


この議論は改善についてのものですが、その精神は当社の環境整備のコンセプト(2S直角平行)に通じるものがあります。

環境整備のメリットの一つは細部に目がいくようになり、いち早く異常を察知できるようになるというものでした。
そうした研ぎ澄まされた感覚がなければビジネスシーンにおいて的確な判断を行うことが難しいのではないかと思います。

私は以前から改善活動と環境整備を一体のものとして扱う必要性を感じていましたが、先進的な経営で知られるリコーが上記のような考え方をしていることに意を強くしました。