女子高生マネージャーのドラッカー経営の後に、またドラッカー経営をベースにしている小宮氏の本について連載します。
小宮一慶『一流になる力』講談社、2009年 定価1,470円
小宮氏はドラッカー経営を最も忠実になぞっていると思われるコンサルタントです。
ですから必然的にこのブログでも登場回数が多くなります。
この本もなかなかよいまとめかたになっていますので詳論したいと思います。
小宮氏は今後の日本は数十年間、低成長時代が続くという認識を持っています。
さらにグローバリゼーションの進展が日本の経営環境を激変させると考えています。
そこで提起される仮定が「誰でもできる仕事はどんどん低賃金になる」という厳しい指摘です。
こうした時代では、スキルを磨いて自らの価値を高めた人材だけが抜擢され高給を取るようになり、勉強していない人、有用な人脈を持たない人、「そこそこでいい」と考える向上心のない人は食えなくなると小宮氏は指摘します。
ここで「そこそこ」というのは、一流でもないが三流でもないといったレベルの人のことです。
小宮氏は高度経済成長時代においては「そこそこの人」であれば食べていくことができたといいます。
しかし、これからは「そこそこの人」では食えなくなるというのです。
小宮氏は「一人前」と「一流」の違いを明確化する必要を指摘します。一人前というのは定型的な仕事をそつなくこなせるレベルの人を指しています。
しかし、今後は一流以外はすべて三流と考えなければならないというのです。
かつて「そこそこの人」「一人前の人」と呼ばれるレベルの人は今後はすべて三流に落ちるしかないというわけです。
これはかなり厳しい指摘です。小宮氏の立論は一億総中流時代が崩壊し、一流以外はみな三流時代が到来したということなのです。
また小宮氏は日本のホワイトカラーはかなり楽をしてきたと指摘します。その点について次回に詳論したいと思います。
(つづく)