2010年3月11日木曜日

高校野球部女子マネージャーとドラッカー③

教師であり野球部の監督の加地は優秀な能力を持っていたが自信を失っていた。

「専門家にはマネジャーが必要である。」

みなみは専門家(加地)のマネジャーとなる決意をした。

「専門家が自らのアウトプットを他の人間の仕事と統合するうえで頼りにすべき者がマネジャーである。‥マネジャーは専門家のボスではない。道具、ガイド、マーケティングエージェントである。

逆に専門家は、マネジャーの上司となりうるし、上司とならなければならない。教師であり教育者でなければならない。」

まさに加地は教育者(教師)であった。そこでみなみはそんな加地(専門家)のガイド(通訳)となることを決意した。

練習試合には大敗したが、その後のミーティングで雰囲気が変わった。みなみは今こそ成長の機会であると考えた。

「成長には機会が必要である。いつ機会がくるか予測できない。準備しておかなければならない。準備ができていなければ機会は去り、よそへ行く。」

準備はできていた。野球部とは何かを定義し、目標を決め、マーケティングをしてきた。
また専門家である監督の通訳となった。部員たちの声を彼に伝え、彼の声を部員たちに届けてきた。彼の知識と能力を全体の成果に結び付けようとした。彼のアウトプットを他の人間の仕事に統合しようとしてきた。

「人のマネジメントとは人の強みを発揮させることである。」

「人は最大の資産である。」

みなみはそれまで苦手にしていた後輩の女子マネジャーの強みを生かした。頭の良さなどの強みを監督の通訳係とすることで発揮させることにした。そのマネジャーは監督に貢献することで成果を上げ始めた。

まだ問題があった。
野球部の練習には魅力がなかった。練習が面白くないので部員たちはさぼるのだった。

「企業の第一の機能としてのマーケティングは、今日あまりにも多くの企業で行われていない。言葉だけに終わっている。」

みなみはマーケティングを生かして、魅力的な練習メニューを作ることを後輩女子マネジャーに頼んだ。



この本の独創的なところはドラッカーのいうところのマネジャーが野球部の女子マネージャーであって、監督が専門家(プロフェッショナル)という設定になっていることです。

組織図上の役割とは別に実質的な役割設定を与えているということでしょうか。

ドラッカーにはエグゼクティブ(一流ビジネスマン)という概念がでてきますが、この本のみなみはエグゼクティブであり、実際の役職以上のパフォーマンスを出しているということでしょう。

(つづく)