先月、私が長々と解説した「ユニクロ帝国の光と影」の内容をめぐり、発行元の文芸春秋社をファーストリテイリングが告訴したそうです。
ポイントは、ユニクロではあたかも低賃金で過重な労働を課しているかのように書いたことが事実に反するということです。
私はその意見には反対で、あれだけの企業を起こすには強烈な個性が必要だったと思うのです。
たしかに柳井氏の目標設定はものすごく高いのでついていくにはなかなか大変でしょうが、それで批判されるのもどうかなという感じです。
柳井氏はドラッカー経営を提唱していますが、同じくドラッカー信奉者である江副浩正氏のリクルート社は社員が次々と入れ替わっていて、そこでの修行を生かしてみな大きく羽ばたいているわけです。
今回の告訴のポイントは労働者に対して過酷な扱いをしているということで、これはグローバル企業にとっては見過ごせない話です。
特に海外の工場での過酷な労働環境の放置は、1990年代にCSR上の大問題となったテーマです。
私の認識ではユニクロは業績好調を受けて待遇は業界内でかなり良いほうと認識しています。
ただ本書はユニクロの経営戦略の歴史がとてもわかりやすいので、その辺は熟読させていただきました。
(浅沼 宏和)