2010年11月1日月曜日

ドラッカーと人材開発

日曜日にNPO東海マネジメント研究会の定例勉強会があり、㈱アドウィルの村木氏による発表がありました。


村木氏はキャリア開発に力を入れており、今回、ドラッカー理論をベースにした新しいコンセプトのたたき台を提供してくれました。


キャリアの観点から人材の「自己重要感」を重視し、「気づき」を切り口とすることだそうです。


そしてそこにドラッカーのイノベーション理論を導入するということでした。


と書くと、なんだか難しげですが、ポイントはドラッカーの「予期せぬ出来事」の概念に注目しているところです。


村木氏は、日々の気づきからスタートするためにサプライズ分析なる方法を提唱しました。

つまり、

・最近、意外にうまくいったこと

・最近、意外にうまくいかなかったこと

・最近、起きていること


これらを直感的に見つけるところから分析をスタートさせるのです。そしてそこに本人の強みを見つけたり、取り組み方の良い点悪い点を考えさせるきっかけとしたりするよ言う者のようでした。

最終的なゴールとしてイノベーションを起こさせ、達成感を満たすようにするということでした。


実行プロセスには多々問題があるとのお話でしたが、私は有益なアプローチとであると思いました。


私も人材開発は、予期せぬ成功に注目するのが最も良いと思っていました。


ですから、当社の場合、月単位で作成する目標管理シートで最も重要な情報を「予期せぬ出来事」の記述ととらえています。


予期せぬ出来事(特に小さな成功)は本人の強みを生かした主体的な活動の中で発生します。

ずっと仕事を続けていて自身の仕事から「サプライズ」が起きない場合、その仕事への取り組み方自体が陳腐になっているのではないかと考えるべきなのです。


予期せぬよい出来事は、主体的な仕事をしている人にしかおきません。


当社の場合、目標管理シートが年間12枚提出されるわけですが、そこに書かれていることが本人の認識している成果であるわけです。

そこに何も書いてなければ、本人は成果を上げていないという自己認識をもっていることになります。

村木氏の場合、自身に起きたサプライズを掘り下げていくことで、人材開発を行おうと考えているわけです。

これはドラッカーの言う本来の意味での目標管理制度の発想に近いと思います。



成果は自分自身で認識してもらう。

予期せぬよい出来事が起きるように些細な行動に工夫を凝らす。



こうしたことを自分自身で行うことがビジネスパーソンとしての付加価値をあげる早道であることを理解してもらう必要があります。

ドラッカーは企業は成長する経済か、大きく変化する経済のもとでしか存在できないと言っています。

経済が成長しない現在、変化は自分自身で作らないといけません。1個人としてできる最も効果的な取り組みは「予期せぬ出来事」への注目になると思います。