卓越性だけが利益をもたらす。
『創造する経営者』より
ドラッカーの重要な概念に卓越性があります。
卓越性とは、一言でいえばものすごく優れているという意味です。
この卓越性について誤解しやすいのは、一芸にさえ秀でていればよいと勘違いしてしまうことです。
ドラッカーは、弱みにこだわらず強みに集中せよとも言っていますので、これが言い訳に使われる危険があるのです。
別の記述を引用します。
多くの領域において卓越することはできない。
しかし、成功するには多くの領域において並み以上でなければならない。いくつかの領域において有能でなければならない。
一つの領域において卓越しなければならない。
『創造する経営者』より
単純化すると
卓越分野1 : 有能な領域数個 : 並み以上の領域多数
というわけです。
前にこのブログで私はハインリッヒの法則から 大成果1:小成果29:積極的打ち手300
みたいな比率が成立するかもしれないという仮説を書きました。
これがドラッカーでは、卓越・有能・並み以上という概念に同じようにピラミッド型の階層構造が成立すると書かれているわけです。
この記述に気付いたのは昨日ですが、以前に読んだときには気づきませんでした。
ドラッカーの著作の特徴は読み返すごとにこうした発見があることです。
ちなみに私がここで書いていることは、どのドラッカー本にも出ていないと思います。
ドラッカーは読めば読むほどマネジメントについての自分なりの基準や原則が頭に浮かぶようになっています。
さて、ドラッカーの卓越性の法則(私の勝手なネーミングです)によると、私の法則は次のように書いた方がいいのかもしれません。
大成果1つに対してその数倍から数十倍の小成果があがり、その背景には数限りない積極的な打ち手が存在する。
打ち手は自身の努力で実行できる。卓越するビジネスパーソンは打ち手の数が限界的ビジネスパーソンを大きく上回る。