2010年11月4日木曜日

戦略の作られ方-ミンツバーグの理論

またミンツバーグです。

戦略というと、知性的な戦略家が室内で静かに黙想しながら練りあげるといったイメージになりがちです。

ですが、中小企業などではそんな作り方をしている企業は少数派でしょう。

「なんとなくがんばっていたら、ひょんなことからこういうことになってしまった」といったほうが多いのではないでしょうか。

ミンツバーグはそうした戦略を「創発戦略」と名付けています。

そして、計画的な戦略とのバランスが重要であると述べています。



・戦略は試行錯誤しながら形成されていく。


・戦略は策定される場合もあれば、自己形成される場合もあるということである。
言い換えれば、戦略は状況変化に即して形成されることもあれば、
戦略立案から実施段階へと連続するプロセスを経て、論理的に策定される場合もある。



・戦略は日常的な末端の活動から遠く離れた組織の高次元において作成されると考えるのは、因習的なマネジメント論における最大の誤りの一つである。

 

・プランニング(計画化)は学習を排除するが、創発は統制を排除する。
もし、一方に偏りすぎると、どちらの方法もその意味を失う。
学習と統制は結びついていなければならない。



・純粋なプランニング戦略と純粋な創発戦略は一本の線上の両極にあり、
したがってクラフティングは、この線上のどこかに位置することになる。


・優れた戦略は、およそ思いもよらない場所で生まれたり、
考えもしなかった方法で形成されたりする。
したがって、戦略を策定する唯一最善の法など存在しない。



このように、ミンツバーグは事前に計画を立てるという戦略立案方法と、
自然と出来上がってくる、いわば事後的な経営戦略という二つの戦略が対極にあると考えています。

自然と出来上がってくる戦略で動くというのが、いわば中小企業的な感覚です。

そのためミンツバーグは日本の特に中小企業経営者にはしっくりくるはずです。

ただし、ミンツバーグは次のようにくぎを刺しています。


・変化を求め続ける人たちがいる。一つのアイディアから他のアイディアへと転々とし、一つ所に落ち着かない。
このような人たちの場合、特定のテーマとか戦略とかは一向に現れる気配はなく、独自の能力を開拓することはおろか、発展させるには至らない。


やはり、「行き当たりばったりでは限界はあるよ」ということです。

ということで、次回はミンツバーグの戦略論についてさらに深掘りします。