今日の組織では、自らの知識あるいは地位のゆえに組織の活動や業績に実質的な貢献をなすべき知識労働者は、すべてエグゼクティブである。
‥知識労働者は意思決定をしなければならない。
‥自らの貢献について責任を負わねばならない。
『経営者の条件』より
なかなか難しい文章ですね。
エグゼクティブとは今風に考えるならば、レベルの高いビジネスパーソンといった感じでしょうか。
エグゼクティブは自身の責任においてものごとを判断しなければならないというわけです。
ドラッカーはこのようにも言っています。
ゲリラ戦では全員がエグゼクティブである。
ジャングルで敵と遭遇しても司令部に指示を仰ぐことはできません。
その場で高度な判断を迫られることになるわけです。しかも、その責任の取り方は自身の命をかけるというものですから、特殊部隊の隊員等は全員エグゼクティブになるわけです。
ドラッカーは医療チームもエグゼクティブの集団であると考えています。
医療現場では医師や看護師のほかにもさまざまな職種のプロフェッショナル達がいます。
1人の患者に対して実に多くのプロがかかわるわけですが、彼らは具体的な細かい手順まで相互に伝えあっているわけではありません。
「患者さんを治す」という共通のミッションのもとに治療計画を理解し、それぞれが責任を果たすために最高の仕事を行います。
彼らは責任に基づいて行動するわけです。
ですから、患者さんの治療に失敗したとしても「患者さんは死んでしまったけど、私の仕事は最高だった。」というわけにはいきません。
しかし、ビジネスシーンではこういった話がよく出ます。
ドラッカーはこのような人を『二番目の石工』と呼んでいます。