2010年2月6日土曜日

JAL破綻に見る日本の老化

著名な建築家である安藤忠雄氏が日経ビジネス2010年2月8日号に掲載していた意見です。

一言でいえば、JALの破綻は日本の老化の現れであるということです。

安藤氏によれば、JAL破綻はかつての勝ちパターンが通用しなくなったために起きた結果であるといいます。

日本がバブル崩壊後も経済大国としてやってこれたのは、ひとえに過去の遺産があったからです。
ですから、無責任なリーダーにまかせていて、誰も使わない空港を日本中に作り続けるような信じがたい「ムダ」をしつつも成長できました。

JALも日本と同様に、遺産があるうちは無責任体質でも生き延びてこられたが、ついにそれを食いつぶしてしまったというわけです。

安藤氏は近年、北京、上海、ソウル、台北で仕事をしてきたそうですが、いずれの都市においても物事の決まるスピードの速さに驚かされたそうです。リーダーの即断即決でなんでもすぐに決まってしまうのだそうです。

安藤氏は日本の速度の遅さが国際社会において生きていくうえで大きな問題になることを危惧します。
翻って、JALも責任感ある経営者がいれば、もっと早い段階で手を打てたはずだと批判します。



この前も触れた大野耐一氏の「トヨタ生産方式」においても企業の老化の問題に触れています。

企業にも人間と同じように背骨があるが、しっかりとした背骨は弾力性がありよくしなる。この弾力性が大事なのであり、背骨が硬直することが老化なのだといいます。

JALはだいぶ前から背骨が弾力性を失っていたようです。自社が老化し、背骨の弾力性を失っていないか顧みる姿勢が厳しく問われる時代になりました。