1、既存の顧客にたいするビジネスチャンス
ドラッカー理論のビジネスチャンスをとらえるための視点をまとめていきます。
今回は、すでに獲得している既存の顧客に対するビジネスチャンスのとらえ方です。
河野教授の著書に従ってまとめてみます。
ただし、河野先生はかなり昔のタイプの文体(つまり難解な文体)ですので、私が簡略化しておきます。
①顧客・市場を知っているのは会社ではなく顧客自身
顧客に質問し、観察し、その行動を理解することに努めるのが基本です。理解する対象はその「満足感」になります。
②顧客は満足感に対して金を払う
つまり企業の製品・サービスは満足感を生み出すための手段と考えなければならないということです。
③顧客の関心は「この製品は私のために何をしてくれるのか」にある
企業は「この製品の質を作るのがどれだけ骨が折れ、費用がかかるか」を考えてしまいがちであることをドラッカーは批判します。
④同じ満足を得られる他の手段に注意する
「キャデラックのライバルはミンクの毛皮やダイヤモンドである」という有名なたとえがありますね。
⑤市場では当社製品はズラリと並んだ同じ満足を得られる商品の一つでしかない
顧客の支持は移ろいやすいものであると考えなければなりません。
⑥顧客の行動はすべて合理的
一見すると不合理に見える顧客の行動も、その原因に照らしてみると常に合理的と考えなければならないということです。
⑦多角化製品についての心得
多角化製品は従来製品と同一市場に属していると顧客に認めてもらうことがポイントになります。
いずれもうなずける内容ですね。一つ一つをよく考えてみる必要があると思います。
私は「観察」が重要であると思っています。顧客に直接聞く機会は常にあるとは限りませんが、「観察」はいつでもどこでもできますから。
レベルの高いビジネスパーソンは、この観察能力が優れているように思います。