2、未知の顧客
顧客の意味を「購入を決定する人」のことと考えるべきとドラッカーは言います。
したがって、それまでひとつと考えていた顧客は実は複数の顧客であったり、階層構造があったりすると考えなければならないわけです。
わかりやすい例をあげます。
新車を買う場合、契約はお父さんがするとしても購入を決定するのはお母さんである場合が多いでしょう。
しかし、車種を選ぶ際には娘さんの意見が大きかったりするわけです。家族が車を買うという場合にすら複数の顧客と階層構造が存在しているわけです。
ドラッカーはこうした点を見逃してはならないと指摘します。
企業に何かを売り込む場合には、法人としての企業のほか、誰が決定をして、誰の意見に影響力があるのかを良く考えなければならないわけです。
こうした顧客の種類と階層構造がわからない未知の顧客については、市場・顧客・商品の最終用途といった視点から考えなければならないとドラッカーは言います。
自社の視点から見てしまうと、未知の顧客をつかむことができないということでしょう。
これもプロダクト・アウト(製品志向)ではなく、マーケット・イン(市場志向)の視点を重視した考え方であると言えるでしょう。