「 業績の90%が業績上位の10%からもたらされるのに対し、コストの90%は業績を生まない90%から発生する。業績とコストは関係ない。 」(『創造する経営者』より)
コストが高い、つまりより多くの資源を投入している活動が必ずしも大きな成果を上げているわけではないということを説明する文章です。
これは、100年前以上に経済学者のパレートが提起した「 欧州の富の80%は、全人口の20%が所有している 」という有名な命題に由来する着眼です。
社会現象は統計的に正規分布しないで偏りを持っているという仮定から導き出されています。
応用バーションで、「教科書の20%を集中して覚えれば、重要なことの80%はカバーしている」という話を聞いたこともあります。非常によくつかわれる仮定です。
経営現場では、なんだか忙しそうにしている人は価値を生んでいるように見えます。しかし、評価すべきなのはその活動がどのような成果を生んでいるかということです。
上記の法則に当てはめてみると、多くの場合、たいして価値のない活動に追われて忙しそうに見えているというわけです。
とても忙しそう ≠ 大きな成果が上がっている というわけです。
しかし、とても忙しそうにしていると価値がありそうに思えるところが難点です。
前にドラッカーの3人の石工の話を書きました。
一人目は、「石を積んで生活している」、二人目は「超一流の石積みをしている」、三人目は「大聖堂を立てている」
と語るというエピソードです。もちろん成果を上げているのは三人目であり、問題なのは二人目です。
最終目的とリンクしない活動は、どんなに忙しそうにしていても成果とみるべきではないということです。
成熟市場においては細かい市場対応や戦略的打ち手が必要です。少し前までは有効であったやり方が今では無効になっていたりします。ですから、その時の状況と目的がなんなのかをよく理解したうえで活動を組み立てなければ意味がないということです。
馬車から自動車へと交通手段が変わったのに、超一流の馬車を作り続けることにはまったく意味がないということです。
コスト管理の要諦は対業績比です。それは上記の理由から明らかになるわけです。