2010年2月11日木曜日

キリン「生茶」開発裏話

キリンの「生茶」の開発・マーケティング戦略を聞きに三島に行ってきました。

静岡銀行の勉強会の企画ですが、以前に聞いたチューハイの「氷結」の開発・マーケティングに続く第二弾というわけです。

キリンは浜松で加藤社長が講演したり、静岡銀行と密接な関係があるようです。

これでキリンがらみでは三回目の参加になるのですが、いずれもかなり良い内容でした。

本来は企業秘密に属する内容であると思うのですが、資料の配布こそしてもらえなかったですが、公開していただいた内容は相当濃いものでした。
これほどの内容を聞ける企画はそうそうないと思います。

「生茶」開発の裏話をかいつまんでまとめてみます。

・生茶の誕生は2000年。当時は「おーい、お茶」しかなかった。
・お茶は世代、性別を問わないものなので、あえてマーケティング上のターゲットを設定しなかった。
・最初のCFで松嶋奈々子を起用したイメージが強かったせいか、当初から若い女性のファンをある程度獲得できた。 ‥予期せぬ結果
・2004年に伊右衛門登場。正当なお茶のイメージの強力なライバル。→「生茶」は本物志向ではない?という疑念。
・「生茶は本物のお茶なんだ」というアピールを計画。→結果的にディテールにこだわりすぎたきらいがあった。
・その後、何度かマーケティングを改良したがうまくいかず。→マジョリティを獲得しようとしてうまくいかず。
・明確なターゲティングの必要性を痛感。
・2007年の段階で、三大お茶ボトル(おーい、伊右、生茶)は大差のない商品となっていた。
・おおまかにいえば同じものであるが、世代、性別ごとに細かく市場を分析し、それぞれの生活パターンまで読み込んだ上で、さらに上積み可能なシェアを割り出して、細かいマーケティングを積み上げていく計画。

とまあ、お茶という差別化の難しい領域で、非常に細かい検討を繰り返している内幕を全部見せていただきました。
しかし、企業間競争は実にシビアなものである改めて痛感しました。

キリンは市場のさまざまな状況を非常に細かく分析したデータを持っているようで、その調査能力は大手企業の中でも相当上位にあるらしいです。
今回もその能力の一端を垣間見せていただきました。

例えば、
「生茶を飲む客はコーヒー飲料は飲まない」
「かつてはミネラルウォーターが人気があったが、ヘルシー志向でその消費者がお茶ボトルに移行中」
「缶コーヒーはヘビーユーザーが支えている。缶コーヒー愛好家は一人で何本も買う比率が高い」


といった感じです。細かさに脱帽でした。

マーケティングを行うには、これ以上考えられないぐらいに徹底的に考えたうえで仮説を明確に立て、それを徹底的に検証することが大切であるということだそうです

全くごもっともであると思いました。