2010年2月24日水曜日

書評 「社長の教科書」①

小宮一慶『社長の教科書』ダイヤモンド社、2010年  定価1,500円+消費税 




以前の書評でも「ドラッカー度数の高いコンサルタント」とご紹介した小宮一慶氏の新作です。


社長の心得をドラッカー風にうまくまとめてあります。

 
なかなか良いことが書いてありますので数回に分けて内容をご紹介します。

経営者がやるべきことは次の三つ
 ①企業の方向付け
 ②資源の最適配分
 ③人を動かす

おもいっきりドラッカー風です。そのためには

・何をやるか、やめるかを決める
・品質、価格、サービスの違いで他社と比較する
・素直な目でライバルを見る
・現場に行って自分の目で確かめる
・良い会社とは部下も社長も皆で仮説を出すことができ、それを検証して、高い確率で成功するまで練ってから、実際にやってみる風土がある会社
・「For The Company」 -真のリーダーとは会社全体のことを考えて発言できる人
・公私混同をしない

が必要であるといいます。


基本的な心構えです。当たり前のことですが改めて考える機会を持つことも必要ですね。

・良い仕事をする-良い仕事をすれば結果的にお金は付いてくる
・伸びる会社は「お客様第一」が目的となっている
・良い仕事とは結果として稼ぐことができる仕事-稼げない仕事は良い仕事ではない

これは意外と当たり前になっていないですね。仕事自体が目的になってしまうことは非常に多いでしょう。ドラッカーの石工のエピソードを思い出していただければわかると思います。

ついで小宮氏は目的と目標の違いに言及します。

・目的とは存在意義である

ドラッカーの言葉通りです。ミッションを定義するときに検討すべき事柄です。

・お客様に喜んでいただくことは「目的」、売上高50億円を達成することは「目標」

これもドラッカー的ですが、ビジネスシーンでも意外と共通認識になっていないですね。

TMAではドラッカー流に ミッション(使命)、ビジョン(将来像)、バリュー(提供価値)、ゴール(目的)、ターゲット(目標)という5段階を設定しています。

小宮氏の定義に照らすと、目的が上位概念としてのミッションと具体的行動結果としてのゴールに分解されているわけです。それを組織体の方向性であるビジョンと手段としてのバリュー(提供価値)が支える構図です。

(つづく)