前回のミンツバーグの戦略論の続きです。
ミンツバーグの事後的な戦略論(創発戦略論)については批判があります。
そもそも意図せざる戦略を創りだそうとすることは意図的であるから自己矛盾ではないのか、ということです。
たまたまうまくいった話を後付けで説明しているだけであるのがミンツバーグの戦略論なのではないかということです。
この批判についてはドラッカーの理論で反論が可能です。
ドラッカーは、強みというものは最初から持っているわけではないと言っています。
可能な限りのうち手を数多く打っていく中で、思わぬ成功がおきることがあります。ドラッカーはこれを「予期せぬ成功」と呼びます。
この「予期せぬ成功」を突き詰めていくことが、これまで思いもしなかった新たな価値創出へとつながるというわけです。
つまり、 ①数多い打ち手 ⇒②予期せぬ成功 ⇒③予期せぬ成功の深掘り・さらなる打ち手 ⇒④パターンとして出来上がった事後的戦略(ミンツバーグ的戦略)
といえるのではないかと思います。
ポーターの競争戦略論とミンツバーグの創発戦略論という全く対極にある戦略論を包み込む大きさのあるドラッカー理論はやはりすごいと思います。
(浅沼 宏和)