ドラッカーの使う言葉には、似たような言葉との意味の違いが分かりにくい者がたくさんあります。
その一つが「戦略計画」という言葉です。
実質的な意味としては計画として立案された経営戦略のことですが、ドラッカーがこの用語を長期計画・短期計画というものとの対比から使っています。
今日、長期計画は誤解されている。短期の計画にも戦略は必要である。
この言葉は、短期計画が長期計画を細分化したものではないという意味です。
長期と短期はそれぞれ別の視点から検討されるべきものであり、その結果が戦略計画において統合されなければならないというのがドラッカーの考え方です。
ですから、戦略計画は長期と短期のバランスを取るというリスクを伴う意思決定になるわけです。
つまり、良く見受けられるような金融機関に提出する中期経営計画書やISOの目的・目標は戦略計画ではない場合が多いということです。
(浅沼 宏和)