どのように競争するかが戦略であるというのが基本的な考え方です。
ポーターの初期の著作では業界内で独特のポジションをとることで競争を避けることの大切さが強調されていました。
後期の著作では企業経営における立地の重要性を指摘し、互いに競争することでレベルが上がることが強調されていました。
つまりポーターは一方では競争を避けるべきものと説明し、他方では競争によってレベルが上がるともいっているのです。
たとえるならば次のような意味であると思われます。
サッカーや野球などの人気スポーツは競技人口が多いため、お互いの切磋琢磨によって全体のレベルが引き上げられます。
これがポーターの後期の意味での競争の本質であり、好ましい競争であるわけです。
また、プロ選手となった人たちはトップ・レベルでの競争において自身の価値を認めてもらうために他の選手とは違う独特の強みを磨き、なくてはならない選手になろうとします。
これが初期の意味での競争です。
このように考えるとポーターの競争の定義は整合性を持って説明されると思われます。
(浅沼宏和)