2011年6月28日火曜日

「世界一やさしいドラッカーの教科書」⑪-適切な仕事とは

組織・チームが成果をあげるためにはメンバーに割り当てられる仕事が適切に設計されていることが必要です。

ドラッカーは「不可能な仕事、人にはできない仕事をつくってはならない」といっています。

これは成果主義型の人事制度にありがちなことですが、極端に市況が悪くなっているときに契約件数だけを成果とみなして力技で成果をあげさせようとする場合等がこれにあたります。

そのようなノルマを達成することが過半数の社員にとって困難な場合は、ドラッカーの言う「不可能な仕事」であることを疑う必要があります。

そのような状況下にあっては何が成果なのかを厳しく検討する必要があります。

これは経営者の戦略的意思決定の領域に属するものです。

こうした努力を果たさないままに「ノルマを達成せよ」と要求しても納得性は得られないでしょう。


(浅沼 宏和)

「世界一やさしいドラッカーの教科書」⑩-人材で決まる

組織がその人材を超えて立派な仕事をすることはできない。   
   

つまり成果の可能性は人材の可能性が上限ということです。

ヒトという経営資源にどう向き合うかはドラッカーのマネジメント論の要です。


ドラッカー「強みを生かす」ことが一番大切と考えていました。

これは個人の仕事論でも書いたことですが、好きなことを好きなようにやらせることとは全く違う意味です。

「強みを生かす」とは、成果のあがる領域で成果のあがるように全力で行動するということです

つまり、成果があがらなければ、その仕事のやり方が間違っているということです。


リーダーがチームを率いる場合、各人に大きな仕事を与えることが必要です。小さな仕事では小さな成果しかあがりません。

それではその人材の芽をつぶすことになってしまいます。大きな成果をあげるような仕事を与えることはリーダーの責任なのです。

そして、その仕事において実際に大きな成果をあげることがメンバーの責任になります。


(浅沼宏和)

2011年6月27日月曜日

ディズニーの教訓-規則よりも理念で動く

引き続いて日経ビジネス2011.6.27号の特集です。

ディズニー(オリエンタルランド)では規則よりも理念でアルバイト社員を動かす方法をとっています。


・オリエンタルランドでは全従業員に「Tips on Magic(魔法のコツ)」と書いた小冊子が配布されている。アルバイト(キャストと呼ばれる)にも配られる。
・冊子に書かれているのはマニュアルではなくディズニーの歴史・世界観・哲学・経営理念といった抽象的なもの。

・例:園内でごみ掃除をしているキャストに「何をしているか?」と聞くと、「夢のかけらを集めています」と答えが返ってきた。これはキャストが自主的に考えて答えたもの。このような例が多数ある。

・世界観を醸し出すためにキャストの1人1人が機転を利かせている。


・オリエンタルランド独自の理念「SCSE」。Safety(安全)・Courtesy(礼儀正しさ)・Show(ショー)・Efficieny(効率)の4つの重視を表明。優先度はその並び順。

・3月11日の大震災の日にディズニーでは2万人が帰宅困難となった。キャストの多くはその場に残り、食料・防寒具を笑顔で配って歩いていた。これも自主的取り組み。


理念や哲学を身につけ、共有してさえいれば、指示を待たずに判断できる。



(浅沼 宏和)

日経ビジネス-事業仕掛け人

日経ビジネス2011.6.27号で事業仕掛人について特集が組まれていました。


事業の立ち上げには大勢のスタッフと多額の資金が欠かせないという先入観を否定する特集ですね。

ドラッカーの新規事業の考え方に通じるものがあります。


事例1-アシックス:池田新・執行役員

・ランニングイベントの開催⇒初心者・女性と走り、社風を改革。

・従来のランニングショップは最先端のデザイン・機能を盛り込んだウェアやシューズを並べて消費者に売り込み、その反応を探った。
・池田氏はランニング直営店「アシックス東京」のコンセプトを、ランニング体験を最優背うさせるものとした。走る楽しみや習慣を根付かせてから商品に興味を持ってもらう戦略。

・モノより体験を売る。
・オープン3年でランニングイベント参加者は1万5千人を超えた。特に女性へのブランド訴求力が飛躍的に高まった。


事例2-ピーチ・アビエーション:井上慎一CEO

・格安航空会社(LCC)立ち上げのためにANAを退職。

・社内での新規事業ではなく新会社を設立。ANAは出資者として参加。
・「2割、3割の料金値下げなら業務改善で何とかなる。半値にするにはあらゆるものを抜本的に作り直すことが必要」(井上氏)

・「ANAの意識をきれいさっぱり捨て去る必要がある」-ANAへの依存心があるといずれは易きに流れて、目標を実現できない。



事例3-NTT西日本:木村吾郎・新ビジネス部門長


・「振り込め詐欺」が防げる世界観を動画で作り会社を説得。

・振り込め詐欺を防止するため、電話の第三者通話機能を用いるというアイディアに社内からの反対が多かった。
・高齢の親を持つ世代である社内幹部を説得するためにストーリーを描く必要があった。


割合と雑多な事例を取り上げていますが、日経ビジネスとしてはこれらの事例はいずれも通常のシャンとしての働きとは違った行動によって成果をあげているというまとめ方です。

このような動きをするタイプのビジネスパーソンを「事業仕掛人」と呼んでいるわけです。


事業仕掛人は常識にとらわれないで最も効果的な「道」を選んでいるという特徴があるということです。

そのためには、考え、創り、拓く という3つをこなすことが必要であるといいます。

1、考える :商品・事業のアイディアを具体的に考える。

2、創る  :人材・予算・時間を見極めてチームを創る。

3、拓く  :顧客が求めている者を見極めて市場を拓く。



(浅沼 宏和)

2011年6月24日金曜日

閑話休題-常盤工業のブログ

本を出してから知人から「買ったよ」と連絡をたくさんいただきました。

中には周りに勧めてくださる人もいらっしゃるようで、とてもありがたく思います。


そんな中で浜松の老舗の建設会社の市川浩透・社長のブログで大々的に宣伝していただきました。

こんなにたくさん書いていただけるとは思っておらず、感謝しきりです。


常盤工業社長・市川浩透氏のブログ



(浅沼 宏和)

2011年6月23日木曜日

「世界一やさしいドラッカーの教科書」⑨-カリスマ性について

次回作の一次原稿がようやく仕上がりました。

おかげでだいぶ更新が滞りましたが、これから追いつきます。



ドラッカーのリーダーシップ論で特徴的なことは、カリスマ性を強調しないことです

ドラッカーはリーダーシップとは当たり前の仕事として捉えるべきであるといっています。


進むべき方向性を明確にし、それにどのように向かうかを明確にするということです。

特に危機に備える姿勢についてドラッカーは強調しています。


またドラッカーはリーダーは、信頼されることが必要であると言っていますが、この信頼の意味が独特です。


「信頼=好かれること」ではないというのがドラッカーの基本的なスタンスです。

では、何がポイントなのでしょうか?


(浅沼 宏和)

2011年6月20日月曜日

閑話休題-書店に並ぶ

ようやく拙著「世界一やさしいドラッカーの教科書」が書店に並びました。

浜松駅ビルのメイワンにある谷島屋書店では店頭とドラッカー・コーナーのそれぞれに並べていただけました。

「もしドラ」と同格に扱っていただいてありがたい限りです。


2011年6月19日日曜日

「世界一やさしいドラッカーの教科書」⑧-継続的学習

ドラッカーは継続的な学習を重視していました。

個人についてもそうですし、会社等の組織全体についても同じように考えていました。

個人の場合、継続的な学習は責任を自覚することで自発的にやるべきものとされています。


ドラッカーの仕事論では個人は全力を尽くすものとされています。

その意味は単にその場であらん限りの力を振り絞ることの他に、力を発揮する能力を高めておくということも含まれています。これが継続的学習の必要性です。

また、責任の自覚に基づいて学習していくことは人格面を向上させることになり、人間としての重みも加わってくると考えていました。

ドラッカーは 能力開発 + 人格形成 = 自己開発 であり、その中心にあるのが責任と考えたのです。




(浅沼 宏和)

2011年6月16日木曜日

閑話休題-原稿締め切り

しばらくブログの更新が滞ってしまいました。

私の目標は1日1更新なのですが、多忙になるとたまに穴をあけてしまいます。

昨日、拙著「世界一やさしいドラッカーの教科書」が刊行されたのですが、それは次回作の原稿締め切り日でもありました。

次回作は企業事例を10社も入れるのに、執筆期間が短めなので本当に厳しかったです。
これから相当手直しがいるのですが、とりあえずはホッとしています。



今年は原稿をかなりたくさん書いています。

年明けに「近代中小企業」の別冊付録でドラッカー入門を、2月にはドラッカー学会向けの論文を、3月はNPO法人東海マネジメント研究会で刊行する本の分担執筆分を、4月から5月初旬が「ドラッカーの教科書」を、5月下旬から昨日までは次回作の原稿といった有様です。

全部合わせるとA4版の用紙ですと250枚ぐらいにはなったと思います。我ながらよく書きました。

次々と締め切りがやってくる小説家や漫画家の気持ちもよくわかりました。腕組みしたまま1時間ぐらい何も浮かばないということもざらにありました。

ブログやその他の仕事上の文章などを合わせると1000枚近く書いたような気がします。

野球で1000本ノックを受けると最後にはムダな力が取れて最小の力で最大の効果のある動きができるようになるそうです。

文章力もそうなることを期待したいものです。



(浅沼宏和)

「世界一やさしいドラッカーの教科書」⑦-知りながら害をなすな

ドラッカーはビジネスパーソンの心構えとして「真剣かつ誠実な態度」を求めています。

その中にはプロフェッショナルの倫理基準となるものがあります。

それは「知りながら害をなすな」というものです。


これは古代ギリシアの有名な医者であるヒポクラテスの言葉だそうですが、医者に限らずすべてのビジネスパーソンの行動の指針となるべき言葉です。

簡単に言うと 知っていることについては全責任を負っている ということです。

自分自身が知っていることで他人に迷惑をかけるようなことがあってはならないということです。

これは間違った行動をしないという場合以外にも、積極的に行動しないことで他人に迷惑をかけてはならないといった意味も含んでいます。

こう考えるとこの基準はかなり厳しいものであることがわかります。

自分が知っていることの影響を予測し、可能な打ち手をすべて打たなければならないということです。

完璧な準備を要求する基準といえるでしょう。



(浅沼宏和)