2013年2月4日月曜日

マイケル・ポーターと糸井重里の対談のまとめ

日経ビジネス2013.2.4号に競争戦略論のマイケル・ポーターと糸井重里の対談が乗っていました。

糸井重里の事務所が一橋大で主催しているポーター賞を受賞したことによる企画のようです。

ポーターのインタビューや対談はポーター理論の行間を理解する上で大変重要ですのでポイントを箇条書きにしました。

やはりポーターはすごいです。



・今の日本企業が抱えている課題は次世代のユニークさを構築すること。

「顧客のためにユニークな価値を創出する」「何をして何をしないかを明確にし、選択する」の二つが戦略の中核をなす原則

・日本企業の歴史的な強みと個性は組織の全部門が協力して企業体質を高める「トータルクオリティ」に体現されている。

・他方、日本企業は戦略分野に弱かった。今だに多くの経営者が戦略を十分理解していない。

・企業規模は成功を決定する上で最も重要な要素ではない。重要なのは自らの立ち位置をしっかり固めること。  *中小企業でもよいということ
 

・ポーター賞受賞企業がここ10年でサービス分野における新たなタイプの企業が増えてきた。

・マネジメントを学ぶことは経営者の目を基本から逸らしてしまう危険もある。 “お勉強”としてマネジメントを学ぶことのリスク

・事業で最も大切なのは他社と違う独特の方法で顧客ニーズを満たすこと

・利益が先ではなく、ニーズを満たすのが先。しかし、「どうすれば利益が上がるか」からスタートする人が多い。

・事業が成功するのは、ある特定のことに対して情熱を持つ人物が「自分たちなら変えられる」「影響をおよぼすことができる」「もっとうまくできる」と思って事業を生んだ場合。


・名声や高額報酬が得たくて仕事を選ぶ人は偉大な経営者になれない。

「人を喜ばせる」という思いは資本主義の真髄。

・戦略立案の仕方を知らなくても優れた戦略は立てられる。それは多くの場合、自分の信念を元に実行するところから始まる。 *戦略は難しくない

・情熱だけで事業を成功に導けない。情熱が会っても失敗する人はたくさんいる。情熱と明確な選択との組み合わせが大切。


・成功する会社は、すべて顧客のニーズを満たすことについて新しい発想を持っている。

・戦略を考える一つの鍵は「すべての人を常に満足させることは難しい」ということ。

・戦略とは「何をするか」と同時に「何をしないか」の問題でもある。

・他人や他社と異なる選択の積み重ねによって新たな価値を創出する。

・リーダーシップとは日々の活動の中から選択する。
 

・素晴らしいリーダーや企業が他と一線を画すのは、活動の選択の積み重ねがユニークであり、結果的に本物の価値を生み出していること

・「共通価値の創造:CSV」は社会貢献活動と事業目的を一致させること。この視点があれば間違った社会貢献をしない。

・多くの経営者が「会社が成功するために必要なことは何か」を見失っている。

 
・どの企業も基本的にはユニークである。だからすべての事例にあてはまる方程式を見つけることはできない。だから、私(ポーター)は、その根柢にあるツールや原則を見出そうとしている。

・ポーターが考える自身のユニークさは、事例や経営状況についての豊かな深い知識があので一歩下がって各社の事業の根底にあるものを見つけることができること。

・私たちは複雑な仕事に取り組んでいるため、時として単純で明快なことが見えにくくなる。細部にとらわれずに根底に横たわっているものを理解することが大切。
 
 
 
(浅沼宏和)