日経ビジネス2012.1.23号に興味深い特集がありました。
利益より売り上げ -さらば縮小均衡路線-
です。
もし、そのとおりであるならば、ドラッカーのニッチ戦略の考え方やポーターのポジショニング理論とも関係してきますので、私としては一定の整理が必要になります。
ということで、まずは日経ビジネスの特集の趣旨をまとめて、その後、検討を加えていきたいと思います。
・利益なくして企業の存続はない。だが、極端な利益優先の先に未来はないのでは?
・かつて「売上高至上主義」は日本企業の強さの源泉だった。売り上げ増とは消費者の支持の表れであり、新たな雇用を生み出す原動力。
・日本全体に漂う利益偏重。小さくまとまるムードを変える時が来た、今あえて利益よりも売り上げ重視を提言する。
・有名企業を分析すると過去5年間の累積営業利益は増収重視型(売り上げ重視)のほうが増益重視型よりも多い。
・売り上げ重視、シェア重視の経営にかじを切ることは、必死でコスト削減に取り組む日本企業に有効だ。
・目先の利益より売り上げを伸ばすことに力を入れるべき。
・持続的利益を得るために最も重要なことはトップラインを伸ばすこと。コスト削減は手を付けやすいがそれで利益率アップしても限度がある。
・国内企業は国内市場での順位ではなく、世界市場でシェア上位を目指すという気概と具体的方策が必要だ。(A.T.カーニー日本代表・梅沢氏)
・シェア拡大といった成長路線をあきらめ、短期的な利益確保に走る国内企業が増えているのは、海外勢との厳しい競争に打ち勝つための具体策が見えないという事情がある。
・マーケットの目も気になる。
・多くの企業が系絵指標として取り入れたEVA(経済的付加価値)が短期志向を生んだ。必要な先行投資が実施されていない企業は少なくない。
・利益を最大化するためにはボリュームを増やさないといけない。国内が低迷しているので、海外市場で規模を拡大するしかない。
・1960年代、米国企業の多くが利益率重視で、日本企業は売り上げ・シェア重視だった。米国企業は「三流の手法」とみていたが、その後日本企業は急成長した。
・先進国経済の不振と新興国経済の勃興というパラダイムシフトが起きつつある今、利益を優先するよりまず売り上げやシェアの拡大を追求すべき時代になった。
つづく
(浅沼 宏和)