特集を読んでいくと、グローバル競争を展開する大企業を想定した話になっています。
ドラッカー理論で考えて納得のいく部分を上げますと
1、コスト管理はコスト削減ではなく成果の最大化であるという視点が入っている
コスト削減は未来の競争力を失う可能性につながります。最も重要な商品サービスのボリュームを増やす、つまり投入資源に対する成果の最大化を目指すことが大事であるということです。
2、EVA(経済的付加価値)の否定
これは要するに短期における成果とコストの差額を大きくする視点ですので、先行投資という考え方を重視しろというは話です。
「戦略とは現在と将来のバランスをとることである」というドラッカーの視点からすると直近の利益の犠牲をどのように行うかは重要です。
先行投資なくして将来の利益はありません。
ということで、ドラッカー的な観点からするとしっくりきそうな気がします。
しかし、ポーター的に考えるとまだよくわかりません。
1、ニッチではなくナンバーワンを目指すべき
これですとポーターの言うパフォーマンスエクセレンスの追求という泥沼の戦いになるような気がします。
ニッチという概念の定義の仕方の問題のような気もしますが、誤解も生じそうです。
2、国内市場が縮小しているのだからグローバルに戦え、それには売り上げ重視だ。
企業の強みを生み出すのが産業集積(クラスター)であるとすると、海外展開は中長期的には国内を弱体化させる気もしますが、この点、まだ私も整理がついていません。
特集を総括すると、いろいろな前提仮説が入っているようで、結論としては安直な気もします。
前向きに受け取るとするならば「昔の勝ちパターンを思い出して、現代風に生き返らせろ」といったことでしょうか。
(浅沼 宏和)