2011年5月3日火曜日

書評-「ユニクロ帝国の光と影」③

ユニクロは小郡商事の時代から単に会社の規模が大きくなっただけではありません。

「ロードサイドの安売り専門店」から低価格ながらも高品質のカジュアル衣料品を販売する「グローバルなSPA(製造小売り)」へと転換を果たしたことが今日の隆盛の基礎となりました。

SPAとは、アメリカのカジュアル衣料品専門店であるGAPが80年代後半に自社のビジネスモデルに名づけた造語です。原語は「Speciality store retailer of Private label Apparel」からとったものだそうです。

アパレル業界では、従来はメーカー、卸売、小売、という流通の各段階において、機能ごとにそれぞれ別の会社が分業していました。

さらに原料調達や輸出入業務については商社が絡んでおり、多くの企業が役割分担をする複雑な仕組みを取っていたのです。

しかし、こうした分業体制を取ると効率が悪く、利益もあがらないと考えたGAPは、原料調達から製造、小売の各機能をGAP一社ですべて行うというビジネス・モデルによって90年代においてアメリカでカジュアル衣料のトップに上り詰めました。

ユニクロの柳井氏は80年代後半から、このGAPを目標にして、10年以上も試行錯誤を繰り返し、m日本で最初のSPAの仕組みを構築したのです。


(浅沼 宏和)