福島文二郎 『9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方』中経出版、2010年 定価 1,300円+消費税
ディズニーの教育訓練には定評があります。
本書はオリエンタルランドの教育研修を担当していた方の本です。
内容は具体的で良書です。
とてもドラッカー的な要素が多いと感じました。
主な内容をまとめます。
・東京ディズニーランドがいつも笑顔でピカピカである理由は、一言でいえば誰も手抜きをしないから。それは社員一人一人がリーダーシップを持っているから。
・ディズニーでは応募してきた人は基本的に全員採用。人は経験で変わり、育つという信念がある。
・理想の上司・先輩は「ゲストを良く見ている」「後輩を良く見ている」「改善点を見つけたらすぐに改善するための行動を起こす」
・後輩を注意する、忠告する、しかる上司先輩が少なくなった。
・ディズニーのミッション『すべてのゲストにハピネスを提供する』。このミッションは正社員・アルバイトの1人1人にまで浸透している。
例-ある優秀なキャストは、ゴミを拾っているときにゲストに何をしているかと聞かれて「私はパークに落ちている思い出のかけらを拾っているんですよ。」というウィットにとんだ返事をしたそうです。
・ディズニーの行動指針
1、安全性 ‥すべての大前提
・安全を重視した施設設計
・すべてのキャストが安全意識を持つ
・安全最優先のマニュアル・ルール作り
2、礼儀正しさ ‥ゲストをVIPとして迎える
・3つのキーワード「笑顔」「挨拶」「アイコンタクト」
・ゲストの望みに応える
・相手の立場に立って行動する
3、ショー ‥プロとして最高のショー、サービスを提供する
・ディズニールックを守る
・キャストとしてプロ意識を持つ
4、効率 ‥ムダを省く
・自分の役割をムダ・ムリなく果たす
・チームワークを大切にする
・ゲストのムダ、不満をカバーする
・リーダーシップに必要な2条件
①ホスピタリティ・マインドを持ち、さまざまな仕事上のスキルを実践する。そうして初めて相手の信頼を得ることができる。
②自分が模範となること
・後輩の最善を尽くす姿勢を評価する
・間違った考えに染まった後輩を変える。
・後輩に常に思いやりを持って行動させる。
・自分を成長させることに気付かせる。
・価値観を共有する。
・仕事の重要性を繰り返し繰り返し伝える。
・言行を一致させる。
・指示するときは理由も伝える。
・フィードバックされることで後輩は自信をつける。
・大きな目標を立てても失敗の可能性大。スモールステップに挑ませる。
・後輩に自立のチャンスを与える。
といった感じで実にシンプルです。
今回の震災の際でもディズニーランドの対応は際立っていたと聞きます。
ゲストを安心させるために笑顔を絶やさない、売店の商品を無料で配るなどなど、かなりレベルの高いサービスを実践していたということです。
(浅沼宏和)